ZOZO創業者でスタートトゥデイ代表取締役の前澤友作氏(47)が9日早朝、ツイッターを更新。米ツイッターを買収し最高経営責任者(CEO)に就任した、米国の実業家イーロン・マスク氏(51)が率いる米宇宙ベンチャー「スペースX」と契約し、23年に予定する民間人初となる月周回飛行を計画している宇宙プロジェクト「dearMoon」について、8人のクルーと2人のバックアップクルーが決まったと発表した。

日本からは女性ダンサーミユがバックアップクルーに選ばれた。ミウさんは「大きな夢が叶うのがとても楽しみです! 日本と若い世代を代表して、自分のダンスでみなさんに夢を与えます!」とコメントした。応募は全世界249の国と地域から100万人に上った。

またスペースXが開発した完全再利用型次世代ロケット「Starship and Super Heavy Rocket」(旧称BFR)を利用し、月へ向かうことも発表。「このロケットは人と貨物を月や火星へと輸送することを想定して設計された宇宙船です」と説明した。

前澤氏は、21年12月8日午後0時38分(日本時間同4時38分)に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたロシアの宇宙船ソユーズMS-20に乗り込み、日本の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)に渡航、滞在し、同20日にカザフスタンの平原に帰還。元TBS記者の秋山豊寛氏以来31年ぶり2人目の日本人の商業宇宙飛行となった。宇宙に飛んだ日から1年の記念日の発表となった。

「dearMoon」は、前澤氏が米ロサンゼルスで18年9月17日(現地時間)に開いた会見で発表したもの。スペースXが開発を進める大型ロケット「Starship(スターシップ)」による、民間人初の月周回計画の全席の権利を前澤氏が取得。72年の米航空宇宙局(NASA)のアポロ17号以来51年ぶり、米国人以外で初めて、民間人としても初めての月旅行になると明らかにしていた。5日は自身のツイッターで

「イーロンとのオンラインミーティング終了。日本時間で12月9日朝頃に宇宙に関する重大な発表ができることになりました。昨年、宇宙に行った日からちょうど1年経つ記念日にまた新しい発表ができます」

と発表を予告していた。

前澤氏は、18年10月9日に都内の日本外国特派員協会で開いた会見で「dearMoon」は、宇宙を舞台にしたアート・プロジェクトであると説明していた。現代アートのコレクターとして知られる自らがホストキュレーターとして、各界を代表する画家、写真家、映画監督、ファッションデザイナーら最大8人の世界的アーティストを招待し、月旅行の中で月と丸い地球を見て受けたインスピレーションをもとに作品を創作するアートプロジェクトだとした。

その後、21年3月3日には、同乗者はアーティストと限定せず、広く世界中から8人、公募する形に変更すると発表。旅程については「月に行くまで3日間、月の裏側を通って戻ってくるのに3日間。費用は僕が全部、出します。もうチケットは全部買っています。貸し切りの船になりますので、そこに10~12人で乗って行くことになりますけど、みんなで楽しい旅にしたいなと思います」と説明していた。その上で、応募条件として

<1>宇宙に行くという経験を生かし、社会や人の役に立つための自身の活動を、圧倒的に伸ばし加速させることができる方。

<2>同じ船に乗る仲間の活動を、自身の活動と合わせて全力で応援し協力できる方

2点、設定していた。

旅行費用について、前澤氏は18年10月の会見の際は「今は答えられない」としたが、関係者によると「700~1000億円」だという。