「Romanticが止まらない」などのヒット曲で知られるバンドC-C-Bのドラムでボーカルの笠浩二(りゅう・こうじ)さんが14日に脳梗塞のため亡くなったと公式サイトが発表した。60歳だった。

「C-C-Bをやっていた当時は、自分に自信もなかったし、ただただ戸惑っていただけでしたね」。そんな話を笠さんに聞いたことがある。2016年4月、甚大な被害が出た熊本地震の際、自宅のある南阿蘇村で笠さんを取材した。

地震の話を一通り聞き終わり、雑談をしていた時、「小学生の時、初めて買ったレコードがC-C-Bだったんです」と笠さんに明かすと、「そうなんですか ありがとう。すごくうれしいです」と感激してくれた。

その後、話は自然に1980年代にヒット曲を連発したC-C-Bのドラマー、ボーカルとしての笠さんの話となった。C-C-Bは85年、「Romanticが止まらない」で第27回日本レコード大賞金賞を受賞。第36回NHK紅白歌合戦では「Lucky Chanceをもう一度」を演奏するなど音楽シーンの中心にいた。メンバーの中でもピンクの髪色、ハイトーンボーカル、スティックさばきを披露する笠さんの存在は際立っていた。

そんな音楽業界の頂点に立った当時の心境を笠さんは、「自信がなかった」と振り返った。「なんでこんなに売れているのかも分からないし、ドラマーとして自分の実力にも自信がなかった」と思いを明かし、「売れているからって夜遊びも全然しませんでした。『夜遊びなんてして良いのかな』なんて思ったりしていて、家にずっといました。なので遊んだりした思い出もないんですよ」と、今でも当時を思うと複雑な心境になるようだった。突然、ブレークし時代の寵児(ちょうじ)となったことを笠さんはうまく消化できなかったのだろう。

その後、89年にバンドは解散。何度かの音楽活動休止と再開を繰り返し熊本に転居している。笠さんは「最初は農業やるつもりだったんですけどね。ここで音楽を続けられると思っていなかったけど、やっぱり音楽やってほしいと言われて。すごく喜んでもらえて」とうれしそうに話した。近年は、地元の中学校の校歌を作ったり、ラジオ出演、ライブ活動などを続けていた。音楽や芸能界というものに、いろいろな戸惑いや思いがあったのかもしれないが、それでもやっぱり音楽が好きだったのだろう。

笠さん。あなたのピンク色の髪色、ピンクの眼鏡、ハイトーンボイスと華麗なスティックさばきは、やっぱり最高でしたよ。合掌。【上岡豊】

【関連記事】C-C-Bの笠浩二さん脳梗塞で死去、60歳 「Romanticが止まらない」が大ヒット>>