歌手で女優、作家の中江有里(49)が22日、都内で「日本財団『海と日本プロジェクト』」の「海ノ民話アニメーション上映会2023」のトークショーに出席した。

同プロジェクトは、海と深くかかわりを持つ日本という国の「海との関わり」と「地域の誇り」を、子供たちに語り継ぐことを目的として18年に発足。日本に残された海にまつわる民話を発掘して、アニメ映像で表現した作品が上演された。

中江は「子供の頃に(TBS系)アニメの『まんが日本昔ばなし』を見て育った記憶があります。民話というのは、子供に伝える時に親世代が、ちゃんと知らないといけない」と話した。

さらに民話のアニメについて「物語というのは作ろうとする時に、どうしてもいい話を作ろうと思ってしまうんですが、民話は理不尽なこと、ちょっと恐怖を覚えることを描いているのが特徴。それを時間がたってから思い出して『あれは何だったのだろう』と考えることが地域のことを知る、海難事故の怖さを考えることにもつながると思う。そういったことを自然な形で知ることが、特に日本は海に囲まれているので大切だと思う」。

民話から得たことについても「自分の生きている世界と昔がつながっているんだという経験を意識せずに知っていた。今はYouTubeがあるので(アニメを)週に1回待たなくても見られるのはいいなと思う」と笑顔を見せた。

民話のアニメーションについて「思っていた以上の人が関わっている。現地に赴いて話を聞いて、短くギュッと話になっている」。そして「民話を語り継いでいかなくてはならない。今回のことで、自分が生まれた大阪の民話ってどんなものがあるのかと調べてみました。住んでる所とか、行ったことがある所も。それを語り合う機会があるといいですね」と話した。

プロジェクト実行委員長を務めるアニメ監督の沼田心之介氏は「観光案内になってしまわないように、学びがあるようにしました」と説明した。

また日本財団の海野光行常務理事は「民話が日本全体で4万話ある。その内、海に関する者が2割、8000話。古くから語り継がれて、教訓、先人の思いが詰め込まれている。このままで行くと、民話がなくなってしまう危機感を抱いていた。市町村合併によって、語り継がれなくなってしまった。『まんが日本昔ばなし』のテイストを残して、アニメーションで残していこうと思った。世代を超えて海と共に生きるという思い、教訓、海への感謝を伝えて行ければ。そういうものがちゃんと民話には入っている。そういうことが魅力なんだと思う」と話した。