“KAWAII”が世界を席巻する。デビュー約10カ月の7人組女性アイドルグループ、FRUITS ZIPPERの勢いが止まらない。昨年4月リリースのセカンドシングル「わたしの一番かわいいところ」がTikTokで再生回数6億回を超えるなどして注目を集め、同10月にタイ、大みそかには台湾で約7万人を前にしたカウントダウンイベントにも出演。2月からは初の東名阪ツアーも控えるメンバーに、今の思いを聞いた。

ツアーは2月3日の名古屋公演から始まり、同12日までの日程で大阪、東京を回る。仲川瑠夏(るな)は「新曲もありますし、FRUITS ZIPPERの新たな一面をお見せできると思うので、楽しみにしておいてほしいです」と語る。3公演を行う東京では、男女それぞれに分けた限定公演も行う。名古屋公演など一部はすでに完売。反響を考慮して大阪公演はより収容人数の多い会場へ変更して行うことになった。

早瀬ノエルは「完売はうれしいですね。いいものをみせられるように頑張りたい」と意気込む。男女限定公演については「想像がつかないですが、どう雰囲気が変わるのか、今からすごく興味があってワクワクしていますね」と楽しみにしている。

2月12日の千秋楽の会場は東京・LINE CUBE SHIBUYA。収容約2000人で、ワンマンではグループ最大規模となる。ツアーでは、その名を広めるきっかけとなった「わたしの一番かわいいところ」と同じヤマモトショウ氏作詞作曲のバレンタインをテーマにした新曲「ハピチョコ」も披露予定だ。

櫻井優衣は新曲について「世代を問わずたくさんの方に楽しんでもらえる楽曲です」と紹介し「今までも7人の個性は大切にしてきていますが、それがよりわかるんじゃないかなと思います。7人で1グループという私たちの魅力をたくさんの人に曲を通して知ってもらえたらうれしいです」とアピールした。ファンへ向けては「何度か足を運んでくださる方もいらっしゃると思いますし、ひとつひとつの公演がはっきり思い出に残るようなライブにしたいと思います」と力を込めた。

今年4月にはデビュー1周年も迎える。SNS総フォロワー数は100万人を突破しており、昨年は日本テレビ系「ZIP!」やNHK Eテレの「沼にハマってきいてみた」などで特集も組まれた。月足天音は「去年はすごい勢いで物事が進んでいきました。今年はそれ以上にスピードアップしていろんなことに挑戦できたらなと思っています」と決意を込めた。目標には大型の音楽番組出演とアリーナツアーを掲げ「さらに多くの人にアピールしていけたらなと思います」と話した。

グループのコンセプトは「原宿から世界へ」。1年目からタイや台湾への遠征も実現させるなど“全宇宙を巻き込む旅”はすでに始まっている。同じ事務所にはアジアや米国など世界各国で高い人気を誇るきゃりーぱみゅぱみゅらお手本になる先輩も多い。

鎮西寿々歌は「私たちもアイドルとして認められたいという思いはすごくあります」と語り「パフォーマンスのクオリティーを上げることもそうしたことにつながると思いますし、台湾では言葉がわからなくて、思いを全部(英語やドイツ語の話せる)ノエルにということもありました。話せなくても伝わることはあるけど、より伝えたいと思いました」と振り返った。

世界を意識する上で、1年目で経験できたタイや台湾でのパフォーマンスはかけがえのないものになった。真中まなは「現地でも日本語の楽曲を長尺で披露することになるので伝わるのか不安はありました」と語り「でもステージでは表情や振り付けだけではない何か、伝わる目線や熱量とかがぶつかり合っていて。これはいろんな国に行けるなと。未来のことにワクワクできるような感覚を抱きました」と手応えも口にした。

松本かれんも「どんどん海外に行きたい」と積極的な姿勢をみせ「台湾にまた行きたいですね。本場のタピオカが飲みたかったけど、大みそかの時は行けなかったので。次は飲みたいです」と初々しくリベンジも誓った。

ルーキーイヤーは充実の内容だったと言える。3月には自身らも属する事務所のアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」から第3弾となる後輩グループの誕生も決まっている。

櫻井は「私は個人的にはアイドル活動が10年目になる年でもあります」と切り出し「今まで同じ事務所に後輩ができたことがなくて、初めての経験になるんです。あんまり“先輩”ってなれるようなタイプではないんですけど、しっかりできるように頑張りたいです。今までやってきたことはあるので、自分がわかることは伝えて、一緒に仲良くやっていけたらいいなと思います」と思いを込めた。

2023年はさらに飛躍する年にする。仲川は「『わたしの一番かわいいところ』でグループよりも曲を先に知っていただいたところはあると思います」とし「そのほかの楽曲もすてきなものばかりですし、今年はFRUITS ZIPPERがトレンドになるようにしたいです」。明るい未来を追いかけて、日本が誇る“KAWAII”カルチャーをこれからも発信していく。【松尾幸之介】

◆FRUITS ZIPPER 芸能事務所、アソビシステムが手がけるアイドル文化を世界へ発信していく新プロジェクト「KAWAII LAB.」でIDOLATERに続く第2弾グループとして22年4月にデビュー。メンバーはプロジェクトの総合プロデューサー、木村ミサ氏らによる面談で決定された。グループ名は「実を結ぶ」という意味を持つFRUITに「元気を与える」という意味のZIPを組み合わせた。事務所の所在地かつ多様なカルチャーの発信地でもある「原宿から世界へ」をコンセプトに活動中。

◆鎮西寿々歌(ちんぜい・すずか) 1998年(平10)11月24日、兵庫県出身。09年~12年にかけNHK Eテレ「天才てれびくん」シリーズに出演。18年からは同局「ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!」にも出演中。1発ギャグが得意。ギョーザ好きで夏はビールと一緒に味わうのが好き。趣味はカメラ、神社、自然めぐり。身長163センチ。

◆月足天音(つきあし・あまね) 1999年(平11)10月26日、福岡県出身。16年にHKT48に4期生として加入し、約3年半活動した経験を持つ。女優やタレント、グラビアなど幅広く活躍。好きな食べ物はラーメン。趣味はコスメ収集、1人カラオケ、映画観賞。身長153センチ。

◆櫻井優衣(さくらい・ゆい) 2000年(平12)2月21日、東京都出身。13年からアイドル活動を開始。モデル業などもこなす。ネイリスト技能検定3級、ジェルネイル検定初級の資格を持つ。趣味は紅茶、ラーメンめぐり、メーク研究。ミニストップのXフライドポテトにハマり、毎日買いに通うほど好き。身長157センチ。

◆仲川瑠夏(なかがわ・るな) 7月3日、神奈川県出身。加入以前からアイドル活動経験があり、絶対音感の持ち主。高い歌唱力でグループを支える。高校時代は米国留学経験もあり、英語も話せる。趣味はフィルムカメラ、映画観賞、絵を描くこと、カラオケ。冬のブリが好物。身長154センチ。

◆真中まな(まなか・まな) 1999年(平11)4月22日、神奈川県出身。東京・原宿のエンターテインメントレストラン、KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKUでモンスターガールとしてパフォーマンスしていた経歴を持つ。ダンスが得意。エアロビック技能検定特急、キッズコーディネーショントレーナーの資格も持つ。ソフトクリーム巻きが得意。身長163センチ。

◆松本かれん(まつもと・かれん) 2002年(平14)3月28日、千葉県出身。音大卒でピアノを専攻していた。ドラム経験もあり。SNSの発信にも積極的で、TikTokでは中高生を中心に高い人気を誇る。プリン好きで1日1個食べる。特にお気に入りは高級スーパー、成城石井のかぼちゃプリン。身長158センチ。

◆早瀬ノエル(はやせ・ノエル) 2003年(平15)12月29日、ドイツ・ミュンヘン出身。ドイツとのハーフで、日本語、ドイツ語、英語、フランス語が話せる。DTM(デスクトップミュージック)を用いた音楽制作に取り組んでおり、自身のYouTubeチャンネルに「歌ってみた」シリーズを投稿している。好物はグラタン、冷やし中華。