現地時間12日に米ハリウッドのドルビー劇場で開催されるアカデミー賞授賞式で、アジア系女優として初となる主演女優賞の獲得が期待されるミシェル・ヨー(60)が、ハリウッドでのアジア系のキャラクターの描かれ方に苦言を呈した。

97年の米映画「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」でハリウッドデビューを果たした中国系マレーシア人のヨーは、同作出演後は「ステレオタイプ」なアジア系の役ばかりオファーされてきたことから、2年間ハリウッドで仕事がなかったと明かした。

アカデミー賞で最多10部門11ノミネートを果たすなど今年の賞レースを席巻する映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」に主演するヨーは、先日行われた全米俳優組合(SAG)賞でアジア系として初の主演女優賞に輝き、「重要なのは諦めないこと。これは私だけの賞ではありません。同じアジア人の女の子みんなの賞です」とスピーチをして涙を見せていた。

俳優ピアース・ブロスナンがジェームズ・ボンドを演じた「トゥモロー・ネバー・ダイ」でボンドガールに抜てきされたヨーは、それまでボンドの周りにいてただ華を添えるだけの役だった女性キャラクターが初めて敵と対等に戦い、ボンドの命を救ったと述べ、「ボンドガールの定義を変えた作品だった」とコメント。しかし、その後はオファーされる役柄に納得ができず、00年の「グリーン・デスティニー」までの2年間はハリウッドで仕事を得るのに苦労したと明かした。

「業界の人たちは、私が中国人なのか日本人なのか韓国人なのか区別できず、英語を話せるのかさえも分からなかった」と語り、「(自分に対して周りは)大きな声で非常にゆっくりと話していた」と、過去に自身が受けた偏見も告白している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)