俳優草なぎ剛(48)主演のフジテレビ系カンテレ制作の連続ドラマ「罠の戦争」(月曜午後10時)の最終回第11話が27日、放送される。

同ドラマを手がけた関西テレビの河西秀幸プロデューサー(43)がこのほど、日刊スポーツの取材に応じた。4回に分けてお届けするインタビュー第2回は、主演草なぎの演技について語った。【高橋洋平】

【インタビュー第1回はこちら】

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草なぎは「銭の戦争」「嘘の戦争」に続いて「罠の戦争」でも主演を務める。今作は、愛する家族を傷つけられた鷲津亨(わしづ・とおる)が主人公。議員秘書から国会議員に上りつめるが、ドラマ終盤で権力に手を染めていく。演じる顔色にも変化がみられた。

「やっぱり本人は計算していると思う。9話の途中から衣装が替わっているんですよ。それまでの衣装とちょっと変化が出てきて、真っ黒の衣装なんです。それって実は、1話の犬飼(孝介)大臣(本田博太郎)が着ていたスーツにめちゃくちゃ寄せてるんです。ちょっと権力に溺れて、犬飼とか鶴巻(幹事長)みたいになっていく側を表現する際に、衣装から黒く替えて。そうやっていくと本人が乗ってくるんです」

私服の段階から、役にのめり込んでいく。

「例えば(草なぎの)私服もそれまではいつも赤とか、緑とか色のついたもののだったんですけど。闇落ちした芝居の時は、毎回黒いブルゾンを着てきた。私服の段階で。入るところから役作りしてくるんですよね。それがおもしろいなと思って。自分のマインドが闇落ちした時は、そうやって心がけているんだろうなって」

役に入り込んだ草なぎの本気度が伝わってきたという。

「ちょっとやっぱり現場では怖かったです。普通に話すと、全然いつもの草なぎさんなんですけど、出てる空気がちょっと怖いよね、みたいな感じになってました。現場に入るところからスイッチが入ってました」

草なぎの演技は、いつもスタッフの想像の斜め上を超えていた。

「想像を超えてくる感じは毎回あるんです。このシーンってこんな感じかなって、スタッフが思っているところの一歩上、半歩先をやってくるというか。リハーサルの時と本番の時の演技が違うんですよ」

第5話の病室のシーンを例に挙げた。

「草なぎさんが泣くような芝居ではなかったんですけど、急に子どもを前に『父さん全然カッコよくないよ』みたいなセリフなんですけど、そこで急に泣く芝居をされて。スタッフがびっくりするんです。え? どうした? と。テストでやっていた芝居と全然違うじゃんって。みんなびっくりするんです。当然、病室にいる井川遥(鷲津亨の妻、可南子役)さんもびっくりして。結果的に、そのびっくりが芝居に出て、結局井川さんもそれに引きずられて涙する…。すごい芝居になるんです」

なかでも一番影響を受けたのが、第10話で怪文書をばらまいていたことが発覚した、杉野遥亮だという。秘書の蛯沢眞人役を演じている。

「今回それが特に、杉野くんに多かった。まさに最終回なんて、あの草なぎさんの芝居、たたずまいがあったからこそ、杉野くんがすごくいい芝居をしてるんです。草なぎさんが引き出してるんじゃないかと思います」

草なぎの演技が及ぼす影響の大きさを強調した。

「草なぎさんが想像を超えた芝居をすることで、共演者も刺激されて自分の気づいてないところが引き出される。みんなびっくりする。今回それが本当におもしろくて。あの人の一番すごいところって、もちろん画面上で見てすごいなって、いい芝居するなって思ってるんですけど、共演者のいい芝居を引き出すんですよ。それがやっぱりすごいなと思っています」

◆河西秀幸(かさい・ひでゆき)1980年(昭55)1月8日、東京都生まれ。02年に関西テレビに入社。プロデューサーとして初めて手がけたドラマは上地雄輔主演の「逃亡弁護士」(10年)。以降、「銭の戦争」(15年)「嘘の戦争」(17年)「パーフェクトワールド」(19年)「ドクターホワイト」(22年)なども担当。

◆「罠の戦争」 草なぎにとっては6年ぶりの連続ドラマ主演作で、ジャニーズ事務所退所後、初の民放連続ドラマ主演となる。「銭の戦争」「嘘の戦争」に続く戦争シリーズ第3弾は、弱者による強き権力者への報復劇。今作は愛する家族を傷つけられた鷲津亨が主人公。議員秘書から代議士となり、知略を尽くして鮮やかな“罠”を仕掛け、あしき政治家を失脚させる痛快なリベンジエンターテインメント。命を懸けて20年間尽くしてきた政治家に裏切られた男が、権力を振りかざす不条理な政治家たちに壮絶な報復を行う。

【図解】フジテレビ系「罠の戦争」相関図、キャスト