俳優草なぎ剛(48)主演のフジテレビ系カンテレ制作の連続ドラマ「罠の戦争」(月曜午後10時)の最終回第11話が27日、放送される。同ドラマを手がけた関西テレビの河西秀幸プロデューサー(43)がこのほど、日刊スポーツの取材に応じた。4回に分けてお届けする。第1回は同ドラマの制作舞台裏、最終回について語った。【高橋洋平】

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全話通じて、ツイッターでは「#罠の戦争」が世界トレンド入りを果たしている。河西プロデューサーは、ドラマが支持された理由を明確に分析していた。

「『戦争シリーズ』の持ち味を期待されていた中で、期待にちゃんと応えられたと思っている。このシリーズが持っている熱量のあるドラマ、展開がゴロゴロ変わるドライブ感のある、ダイナミックなストーリーがまずウケて、面白がっていただけているのかなと」

ドラマを通じて、弱者が権力に負けることなく戦う姿が描かれている。

「もう1個言うと、第1話の打ち出しが、やっぱり3シリーズの中で、一番見ている視聴者に近いんじゃないかと。弱い者が強き権力者に立ち向かう構図なので。このシリーズの中で一番応援しやすいというところは一つあったと思っていて」

ストーリーが一筋縄で終わらないのも「戦争シリーズ」の持ち味である。

「僕ら的にはそれだけだったら面白くないので、今回は復讐(ふくしゅう)する側から、復讐される側というチャレンジングなストーリー展開をつくってやってみたんですけど。主人公のキャラクター設定というところが割と、感情移入できたんじゃないかと率直に思います」

ドラマの構想は6年前から決まっていたという。

「前回の『嘘の戦争』(17年1月期カンテレ制作)が終わって早々に、脚本の後藤(法子)さんと演出の三宅(喜重)と3人で、次は何をしようかって話をして、政界を舞台にした復讐劇にすることは決めていて。実現するまで、いかんせん6年かかってしまったというだけで」

構想のみならず、ストーリーも、政界を舞台にすることも決まっていたという。

「一番最初に復讐される側、権力という一つのキーワードを考えた時に、権力が絡んでくると、どうしても復讐して相手を倒そうとしたら、結局自分にも攻撃が返ってくる。過去の『戦争シリーズ』2つでも、実は同じようなこと、復讐すればそれが返ってくるというようなことを暗にやっているんです。実は政界をシリーズにしたときに、そこは一番復讐されるっていうのを表現しやすいことだと思っていた。そこはぜひ挑戦しようってことで、一番最初からストーリーは決まっていました」

「罠の戦争」というタイトル通り、各話ごとに展開される罠に注目が集まっていた。

「もともとタイトルは『罠の戦争』じゃなくて、違うタイトルだったんですよ。決まるまでは仮のタイトルがあって。(演出、プロデューサーの)三宅(喜重)が『罠の戦争』がいいって。三宅案なんですけど」

名前が決まった時点で自ずと、ドラマとしての命題も定まった。

「罠って付けた瞬間に、僕ら的にはものすごい宿題が課されるというか。毎回どういう罠を盛り込んでいこうか、という課題の多いドラマになって。もちろん脚本の後藤(法子)さんが一番、案を出してくださるんですけど。僕らも何か、いい仕掛けの案がないかとか考えて。罠をかけて成功するだけでは面白くない。あえて失敗して、それを罠として、逆転させて成功させるっていうようにするとか。こっちが罠を仕掛けるだけじゃなくて、罠を仕掛けられてそれにハマっちゃう主人公がいるとか。罠のパターンをいろいろ考えました」

罠を巧みに駆使して、国会議員まで上りつめた主人公の鷲津亨(草なぎ剛)は、ドラマ終盤で権力に手を染めていく。

「やっぱり政治家になった後、どうつくるか。力を持っていくと人間変わっていくよねって。10話で鶴巻(憲一)幹事長(岸部一徳)から言われていたようなことです。ただ今のところ、まだ10話の段階では(鷲津は)気づいてないというか。本当の意味で刺さってないですよね。怪文書の犯人を見つけようとして。それでも、のし上がっていこうとする。その主人公の葛藤は描かれていたとは思います」

注目の最終回は27日に放送される。

「体温の高いドラマ、プラス、ドライブ力のある展開力ということでいうと、皆さまの想像をどう裏切るか。草なぎさんも『このドラマって視聴者に罠をかけているよね』って言っていたんですけど、僕らにとっては『どう視聴者に罠をかけようか』『想像できないようなストーリーをどう提供するか』かが最大の目的。まずは、あと1話でどう決着つけるの? って。僕たちは納得した結末を迎えていると思う」

ストーリー、舞台のみならず、結末まで決まっていたことを告白した。そしてエンディングに絶対の自信を見せた。

「もっと言うと、6年前から前作の『嘘の戦争』が終わったときから、この企画が立ち上がったときから、最後の結末だけ決まってました。最後の結末はもうここに向かって、ここのゴールに向かって、どう作ろうかっていうのをずっと考えていたんですよ。道中の道筋はいろいろあるけどゴールは決まっている。そこは楽しみにしていただきたい。手応えはあります」

◆河西秀幸(かさい・ひでゆき)1980年(昭55)1月8日、東京都生まれ。02年に関西テレビに入社。プロデューサーとして初めて手がけたドラマは上地雄輔主演の「逃亡弁護士」(10年)。以降、「銭の戦争」(15年)「嘘の戦争」(17年)「パーフェクトワールド」(19年)「ドクターホワイト」(22年)なども担当。

◆「罠の戦争」 草なぎにとっては6年ぶりの連続ドラマ主演作で、ジャニーズ事務所退所後、初の民放連続ドラマ主演となる。「銭の戦争」「嘘の戦争」に続く戦争シリーズ第3弾は、弱者による強き権力者への報復劇。今作は愛する家族を傷つけられた鷲津亨が主人公。議員秘書から代議士となり、知略を尽くして鮮やかな“罠”を仕掛け、あしき政治家を失脚させる痛快なリベンジエンターテインメント。命を懸けて20年間尽くしてきた政治家に裏切られた男が、権力を振りかざす不条理な政治家たちに壮絶な報復を行う。

【図解】フジテレビ系「罠の戦争」相関図、キャスト