過去の違法薬物使用を赤裸々に告白して物議を醸す英国のヘンリー王子(38)が、24年の米大統領選で共和党の候補が勝利すれば米国の滞在資格を失う危険があると英エクスプレス紙が報じた。

ヘンリー王子は1月に出版した回顧録「スペア」や宣伝インタビューでコカインや幻覚作用があるとされるマジックマッシュルームを使用した過去を告白している。これに対し、20年に英王室を離脱して家族で米カリフォルニア州に移住した王子が、米国に滞在するためのビザを取得した際に移民局に薬物使用に関して正直に申告していない可能性が浮上。元連邦検察官で弁護士のネアマ・ラフマーニ氏が「ビザを取り消されるべき」と発言するなど波紋を広げている。

米保守系シンクタンクのヘリテージ財団は、王子のビザの申請内容を納税者に開示するよう政府に要求し、王子は国外追放されるべきだと主張している。しかし、英王室専門家のリチャード・パーマー氏は、こうした動きに対してビザが取り消されるタイミングは民主党政権の今ではなく、薬物犯罪により厳しい共和党に政権が交代した時だとの考えを示している。

一方、同紙は王子は王族である立場から米国ビザ取得を巡って特別待遇を受けた可能性があるとも伝えており、過去の薬物使用を認めたことでビザが取り消される可能性は低いとの英サン紙のカメラマンとして45年間にわたって王室を撮り続けているアーサー・エドワーズ氏のコメントも紹介している。ラフマーニ氏が「王族であっても関係ない」とビザの剥奪について述べている件について、「弁護士の発言に過ぎない。王子は要人であり、そのように扱われている」と述べ、ビザの取り消しを心配する必要はないと話している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)