宝塚歌劇団の雪組トップ彩風咲奈が22日、兵庫・宝塚大劇場で、2人目相手娘役に夢白あやを迎えた新コンビで、本拠地お披露目となる雪組公演「Lilac(ライラック)の夢路」「ジュエル・ド・パリ!!」の初日を迎えた。宝塚公演は5月28日まで、東京宝塚劇場は6月17日~7月16日。宝塚公演では、109期初舞台生がラインダンスを披露する。

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彩風&夢白。新コンビでの本拠お披露目に初舞台生の出演が重なった。

彩風は、開幕前の取材で「無条件に、春というのはワクワクしてくる時期ですね」と言い、新コンビでの再スタートに心躍らせていた。

芝居は謝珠栄氏が作・演出・振り付けを担当。イギリス産業革命の影響を受けた19世紀初頭のドイツを舞台に、鉄道産業の発展を目指すドロイゼン家の長男ハインドリヒが夢を追う姿を描く。

彩風は、きょうだいとともに目標に向かって一直線に進むハインドリヒを熱演。革新的な兄とは対照的に保守的な次弟フランツは、朝美絢がふんし、兄の勝算を心配しつつ、不満を募らせる心の機微を繊細に表現した。軍人でもある三弟ゲオルグは、芸達者な和希そらが好演を見せた。

新トップ娘役の夢白は、彩風ふんするハインドリヒの夢を後押しする音楽家志望のエリーゼを情熱的に演じ、鉄道事業成功への鍵を握る鉄職人アントンをハインドリヒに紹介する。その鉄職人アントンには、縣千がふんした。

青年たちが夢に向かって進む様を表現した今作。彩風、夢白の新コンビは、最初は“同志”のような思いから、次第に恋心を募らせていく関係性を表現した。

2部のショーは、幕開けから、宝塚大劇場の象徴でもある大階段が登場。彩風は意外な形で登場し、すぐさま黒えんびに早替わりして、得意のダンスへと展開。人気スター和希そらが女役を披露する場面もある。

また、2部ショーでは今春入団の109期生が初舞台を踏み、パリにちなみ、フランスで愛される「ミモザ」をイメージした衣装で、「モン・パリ」にのってラインダンスを披露した。

初日前日の22日には通し舞台稽古で最終確認。専科から美穂圭子も出演しており、彩風は「圭子さん、雪組の仲間、そして初舞台生とともに、千秋楽まで元気に駆け抜けたい」と約束し、開幕に備えていた。