南仏で開催中の第76回カンヌ国際映画祭で21日、ウクライナの国旗を連想させる黄色とブルーのドレスを着用した女性が、レッドカーペット上で偽の血液を自分自身にかけて反戦を訴え、警備員から退場させられていたことが分かった。

女性の身元は分かっていない。

報道によると、事件は仏監督ジャスト・フィリポット氏の作品「Acide」のプレミア上映に先駆けて起きたといい、レッドカーペットに登場した女性が階段の途中で突然ドレスの中に隠し持っていた赤い液体が入った2つの容器を取り出し、カメラマンに向かってほほ笑みながら中身を頭の上からぶちまけたという。

女性は警備員2人に取り押さえられて、そのままレッドカーペットから退場させられた。同作品のレッドカーペットで抗議を行った理由や動機は分かっていない。

カンヌ国際映画祭では昨年もレッドカーペットに乱入した女性が、ウクライナ国旗の色をボディーペイントして「私たちをレイプするのはやめろ」と書かれた上半身を露出。下半身には真っ赤に染まった下着を着用してロシア兵によるウクライナ女性への性暴力に対する抗議を行い、警備員に連行されていた。

16日に行われた今年の開幕式では、宣言者に選ばれた仏女優カトリーヌ・ドヌーヴが、ウクライナの詩人による詩を朗読し、ウクライナの惨状を訴える場面もあった。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)