俳優椎名桔平(58)がWOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 事件」(8月放送・配信開始)で主演を務めることが28日、わかった。

78年に第31回日本推理作家協会賞を受賞した大岡昇平氏による同名裁判小説原作のヒューマンサスペンスで、主人公の元エリート裁判官の弁護士、菊地大三郎役を務める。

WOWOWでは19年の「連続ドラマW 神の手」以来、約4年ぶりの主演となる。椎名は「『間違わない人間なんていない。間違えれば、やり直せばいい』その言葉にようやくたどり着いた菊地の心情をひとつのよりどころと考えて演じました。法廷ミステリーとしてだけでは無く、人間賛歌の作品としても、是非皆さまに見て頂けたらうれしく思います」とコメントした。

原作は78年に映画化もされた名作。当時は丹波哲郎、永島敏行、松坂慶子、大竹しのぶ、渡瀬恒彦ら豪華出演者が集い、数々の映画賞を受賞した。今回のドラマ版では、「救命病棟24時」シリーズや「ランチの女王」、「医龍」などを手がけた水田成英監督のもと、舞台を昭和から令和へと移して当時未導入の裁判員裁判制度での心理戦を扱う。 椎名も知人弁護士や現職裁判官との面談のほか、実際の殺人事件裁判の傍聴にも向かうなどして熱心に役柄を研究したという。「(オファーを受け)大変だろうけど是非演じてみたいと思いました」と思いを語り「(演じる)菊地は裁判官時代の5年前に自ら下した判決について、今も自問自答を繰り返している人間です。刑事事件を裁く責任の重さを改めて感じさせられるキャラクターであり、50歳を過ぎた彼が事件を通して成長する姿に、自分の人生を重ねてみたりもしました」と振り返った。

撮影は今年1月中旬から2月にかけて行われた。「リアリティーにこだわりました。真冬の寒さ厳しい時期の撮影でしたが、スタッフ、キャスト全員で真摯(しんし)に向き合い続け、撮影終了時はやり切った感で一杯でした」と語り「正月返上で準備をしてきたスタッフの皆さんに、ゆっくり休んでねという気持ちでしたね。重い題材を扱っている事もあり、現場は常に一定の緊張感を携えている感じでした。その中で水田監督を中心に、全員が持てる力を余すこと無く、懸命に現場に取り組んでいる現場でした」と話した。

ドラマは、スナック経営の20代女性を殺した罪で逮捕された19歳少年の弁護を務めることになった椎名演じる菊地が、”真実”と相対しながら法廷で闘う模様を描いた物語。生まれ育った環境から飛び出そうと葛藤する人々を通じて、閉塞(へいそく)した今を生きる人たちが持つ孤独や苦悩、社会の闇の先にある繊細な希望を濃密に描いていく。椎名の周囲を固める豪華キャスト陣も後日発表予定となっている。