来年7月の退団を発表した宝塚歌劇団の月組トップ、月城かなとが26日、大阪市内のホテルで、退団会見を開き、就任時から本拠地5作をメドに月組の歴史を「つないでいく」と覚悟していたことを明かした。

ベージュ系スーツに白シャツ。「最後まで男役としてまっとうしたい」と言い、始めた会見。トップ就任時に悟った“宿命”への思いを丁寧に説明した。

「(就任時に)歴代月組のトップスターの名前を拝見して、(トップは)自分だけのゴールではなく、この月組をつないでいく役割をいただいたんだのだと、就任の時にそう思いまして。なので、どうやって、どの時期に、次へつないでいくのがベストなのか」

こう考え、その時点でメドを「5作」に絞った。

「5作という数字にこだわったわけではなく、それ(5作は)たまたま。先へ思いをめぐらせて、だいたいこれぐらいの時期に下級生がバウ主演して、次の月組を支える子が出てきて…と考えたら、安心できるのは5作かなと思った」

組子には、宝塚公演を終え、東京公演を控える「フリューゲル」の宝塚千秋楽前日、23日に伝えたといい「伝える前日夜には、早くに決めていた分だけ、こんなにも寂しい思いになるのかと思いました」と振り返った。

ただ「組のみんなもなんとなく(退団決意を)感じていたようで、私の一言一言を真剣に聞いてくれていたし、1人1人の思いが伝わりました」と感謝。月組を見渡し「下級生に至るまで、舞台に堂々と立っている」状況まで導けたといい「私自身は宝塚音楽学校に入学してから、ここまで1度もやめたいと思ったことはなかった」。強い愛着を口にした。

それでも、来年110周年の劇団史、歴史のバトンを渡す使命を帯びるのがトップと理解。サヨナラ公演は、来年3月29日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する「Eternal Voice 消え残る想い」「Grande TAKARAZUKA 110!」で、劇団周年作での卒業になる。

「記念の公演で退団することになってしまったのも偶然。先日(7月に)110周年(事業の制作発表)の時、100周年の時、5組のトップの姿を間近で見てきましたが、それを思い、あらためて『自分にはつないでいく役目がある』と感じました」

5作での退団を惜しむ声には「思ってくださるなら…」と照れ笑いを浮かべた。

月城は09年入団で、星組トップ礼真琴、8月に退団を発表した花組トップ柚香光らと同じ95期生。抜群の美貌と、ノーブルな立ち姿で、下級生時代から注目されてきた。雪組から月組へ移り、21年8月、相手娘役に海乃美月を迎え、月組トップに就任。95期から礼、柚香に続く3人目のトップ誕生となり、95期トップとしては柚香に続く退団となる。

柚香とは「もちろん事前に連絡をしました」と言い、同期であり、トップの先輩として「心から尊敬し、1人の同じ立場のトップスターとしても、お互いに、最後まで自分の役目をまっとうできるようにありたい」と語った。

月城は22年1月「今夜、ロマンス劇場で」で本拠地お披露目。サヨナラ公演は、来年3月29日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する「Eternal Voice 消え残る想い」「Grande TAKARAZUKA 110!」。同公演の東京宝塚劇場千秋楽をもって退団。本拠地5作で退く。

トップ娘役の海乃も同時退団し、添い遂げる。