前頭側頭型認知症(FTD)と診断されて昨春に俳優を引退したブルース・ウィリス氏(68)の妻でモデルのエマ・ヘミング(45)が25日、米NBCの朝の情報番組「トゥデイ」に出演し、「夫は自分が認知症であることを認識しているかどうか分からない。知るのは難しい」と語った。

FTDと診断されて以来、夫の介護をしているヘミングは、FTDに対する世間の認識を高めるため、前頭側頭型変性症協会のスーザン・ディッキンソン代表とともに番組に出演し、インタビューに応じた。

引退して1年半がたつが「診断された本人にとっても、家族にとってもつらい。認知症は家族の病気だと言われているが、本当にそうです」と告白。2人の間には11歳と9歳の2人の娘がいるが、「父親の診断に関する偏見や恥じらいはあって欲しくない」と話し、包み隠さず病気についてオープンにしていると明かした。一方で、FTDの診断を受けたことは「安堵(あんど)であり、災いでもあった」と述べ、「何が起きているのか知ることができて少しだけ楽になったが、つらさが軽減されるわけではない」と家族として複雑な気持ちも吐露した。

ヘミングの番組出演を受け、ウィリス氏の元妻で女優のデミ・ムーアとの間の次女スカウト・ウィリスと三女タルーラ・ウィリスは「FTDについての認識を高めるため、私たち家族の話を共有するため公の場に出ようと思ったエマをとても誇りに思います」とSNSに投稿し、父の再婚相手の勇気ある告白をたたえた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)