宝塚歌劇団宙組に所属する現役団員が9月30日に転落死し、宝塚大劇場での上演を取りやめている宝塚歌劇団の木場健之理事長が7日、兵庫県宝塚市の同劇団で取材に応じ、外部の弁護士を招いた調査チームを立ち上げると発表した。

調査チームは、外部の弁護士が複数入り、劇団スタッフは関与しない。医師やカウンセラーがバックアップに入り、劇団員のヒアリングは弁護士が担う。急死した生徒が所属していた宙組へのヒアリングはすでに始めているという。

将来的に、必要があった場合、他組へも調査チームの調べが及ぶ可能性はあるが、現時点では未定。また、生徒の心身ケアについては、以前からの常駐医療スタッフ、今回新たに招いた精神カウンセラーへの相談は同時に受け付けている。

木場理事長は「なぜこのような事態が起こったのか、今回の(週刊誌)報道と関係があるのか」を中心に調べるといい、調査結果の発表については「しかるべきタイミングで報告する」とした。

「生徒の周辺で何があったのか、きちんと調べるべきだと思っています。実際どこまで迫れるのか、ご本人の気持ちを聞くことができない中で、それでも日々を過ごす中で、ここはこうあるべきではなかったか-など。予見を持たずに調査してほしいので、我々もそこには立ち入りません」

今後、出演者が「安心、安全に公演できることができるのか」を第一に、調査を進めてもらうとした。

この日、冒頭で、木場理事長は「このたびの生徒の急逝につきまして、謹んで心より哀悼の意を表します」とし、「大切な仲間の命が失われ、極めて厳粛に受け止め、無念でなりません」と続け、調査チーム発足を明らかにした。

宙組所属は認めたものの、生徒名を公表していないことには「ご遺族の強い意向を尊重することが大事」と理解を求め、「ご家族の深い悲しみにご理解をいただきたい」とした。

劇団では、生徒が急死した後、心身ケアの専門家を招き、生徒への対応を強化しており「1人1人のケアに努めていきたい」とした。すでに、公演が停止していた宝塚大劇場での宙組公演出演者を中心に、聞き取りを始めており「まずは宙組生全員に、順次行っている」とした。

宙組の宝塚公演については、22日まで中止を決定。「時期は22日までとは考えているが、状況によって考えたい」とも加えた。現時点で、演出の変更も「検討はしている」とし、具体的には「まだ決まっておりません」とも話した。

劇団では24時間対応できる団員の悩みなどを聞き取る相談窓口を設けており、問い合わせもあるという。

木場理事長は「常日頃、稽古や公演をともにし、家族的なつながり、一体感も強く、若いこともありますし、加えて少子化で、身近な人の死への向き合い方が分からない生徒もいる」とし、すでに、苦しい思いを訴えている生徒もいるといい「しっかりとケアに努めていきたい」とした。

調査チームの報告を受け、是正の必要にあれば、「ひとつひとつ、どう取り入れていけばいいか検討する」と語った。