1960年代から第一線を走り続けた写真家の篠山紀信さんが4日、都内の病院で亡くなったことが分かった。83歳だった。訃報を受け、「ブサイクだけどかわいい」で人気を集め4年前に亡くなった秋田犬の「わさお」の公式アカウントが篠山さんを悼んだ。

公式アカウントは、わさおと飼い主らとの3ショットをアップし「写真家 篠山紀信さんの訃報に触れました」とし「2013年4月26日、紀信さんはわさおの下を訪れて、撮影をされました。地元紙・東奥日報の企画によるものでした。当日は降水確率95%の土砂降り予報でしたが、なぜか曇り空で済んだのがとても不思議で記憶に残っています。わさおの晴れ男伝説に加えて紀信さんに寄り添う写真の神様が力を貸してくれたのでしょう、きっと」とわさおと篠山さんの出会いを振り返った。

続けて「紀信さんがわさおを撮られて帰ろうとすると、飼い主母さんが『イカの箱も並べようか?』と言い出したのも、とても記憶に残っている出来事です。それはまるで写真家・篠山紀信とわさお総合演出家・菊谷節子の化学反応を見た気分でした」とし「この頃わさおは、後に『わさ毛騒動』と呼ばれる抜け毛がはじまっていて、必ずしも毛並みが万全ではありませんでした。にも関わらず、紀信さんの撮られた写真には、いつも以上に迫力と愛嬌があるわさと満面の笑顔の飼い主母さんが写っていました。背後には、並べられたイカの箱もありました。田舎の素朴な母さんの提案になんのこだわりもなく乗っかって、再撮影してくださったその姿勢に懐の深さを感じます」と撮影の際のエピソードを明かしている。

最後に「撮る側として一流であるばかりでなく、撮られる側としても素晴らしいサービス精神の持ち主でした。最後に記念写真をお願いした際には、わさお以上にくるくると様々な表情を見せてくださいました。謹んで御冥福をお祈りいたします」と結んでいる。