劇作家で演出家の鴻上尚史氏(65)が5日までにX(旧ツイッター)を更新。「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが訴えていた原作の改変問題に私見を述べた。

鴻上氏は「僕はずっと今回の悲劇を『原作者と脚本家』の問題にしてはいけないと思っていました」と言及。原作者は映像化にあたって自身の作品の改変しないで欲しいと要望する人と、製作側に一任する人とに分かれるというが、「それは、いいとか悪いの問題ではなく、原作者さんの個人の判断です」とした上で、「問題は、『変えないで欲しい』という原作者さんの意向をちゃんと出版社が伝えたかどうかです。そして、それをちゃんとテレビ局が受け止めたかどうかです。そして、もっと大切なのは、その要望が違っていた時に、それに対して対応するのは、原作者個人ではなく、原作者側に立つ出版社であり、その変更の要望を対応するのも、脚本家の前にテレビ局、つまりプロデューサーです。プロデューサーが『絶対に変えないで欲しい』という原作者さんの意向をどれぐらいのレベルで伝えたのか。そして、出版社は、どれぐらいの熱意で、その言葉をテレビ局に伝えたのか」と、検証されるべき問題点について記した。

「そこを問題にしないまま、『原作を変えることは是か非か』という論点にシフトすることは、意味がないと僕は思っています」と鴻上氏。

「海猿」シリーズの原作者の漫画家・佐藤秀峰氏が映像化をめぐる過去のトラブルをつづったnoteを貼り付け、「この佐藤秀峰さんの文章は、はっきりと出版社もテレビ局も、原作者の意向を無視し、原作者の立場を守ろうとしていないという痛切な事実が綴られています。その経済的な要求と脚本家の立場をイコールにしてはいけないと思います。問題は、原作者と脚本家ではなく、出版社とテレビ局です。そう思います」とつづった。