「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」などの作品で世界的な人気を誇った、漫画家の鳥山明さん(とりやま・あきら=本名同じ)が急性硬膜下血腫で1日に急逝した。68歳だった。

突然の訃報に、アニメ「ドラゴンボール」シリーズで主人公・孫悟空を演じる声優の野沢雅子は、所属事務所を通じ追悼のコメントを発表。「信じたくない。考えたくないという気持ちで頭の中が空っぽです」と喪失感と悲しみが入り交じった思いをあらわにした。

野沢にとって、1986年(昭61)2月26日からフジテレビ系で放送がスタートした「ドラゴンボール」でめぐりあった悟空は、切っても切り離せない代表的な役となった。通常のアニメ同様、オーディションで選抜されたが、野沢を一択で選んだ人こそ鳥山さんだった。野沢は「ドラゴンボール」にまつわる取材の中で当時を振り返り、鳥山さんに感謝を繰り返してきた。「私もオーディションを受けて悟空の声を入れたんです。大勢、受けたらしいんですけど、鳥山先生が(演じた声優の)名前を伏せてセリフだけ聞いて『即決です、この方』と…。先生に伺ったから間違いない」などと当時を克明に振り返り、声を踊らせていた。

孫悟空を演じて今年で38年。悟空が成長していく中で息子の悟飯、悟天と父子3人を演じるようになっただけにとどまらず悟空の父バーダック、悟空と同じサイヤ人のターレス、悟空の末裔(まつえい)Jr、悟空に似た悪の戦士ゴクウブラックなど悟空絡みの役を一手に演じ続けてきた。

16年10月15日には「ドラゴンボール」シリーズのゲームで、23年218日にわたり悟空の声を演じたことを受け(1)ひとつのビデオゲームのキャラクターを最も長い期間演じた声優(2)ビデオゲームの声優として活動した最も長い期間と、2つのギネス世界記録に認定された。「健康で長く続けられたから。ギネス記録をって言っていたんだけど」。悟空とともにつかんだ「最高の宝物」を得られたのも鳥山さんの“英断”が全ての始まりだった。

野沢は「お会いするたびに鳥山先生がおっしゃってくださった『悟空をお願いしますね』というお言葉を思い出すと『私の命が尽きるまで悟空のそばにいよう』と気持ちを保つことが出来ます。先生、空から私たちを見守っていてください。どうか安らかな旅立ちでありますように」と生涯、悟空を演じると誓った。【村上幸将】

【まとめ】鳥山明さん死去、各界で巻き起こる悼む声 英BBC「史上最も影響力ある漫画」