シンガー・ソングライターおかゆ(32)が1日、東京・渋谷横丁の「純喫茶&スナック 思ひ出」で、同日発売の新曲「渋谷ぼっちの歌謡曲」発表会を開いた。席上で、母の命日の4月20日に流しを開始して10年目で目標を達成し「流しのおかゆ」から「アーティストおかゆ」と、新たなステージを歩き始めたことを踏まえ「自分の中から出てくる表現、言葉で感情を届けたい。シンガー・ソングライターとして精力的に活動していきたい」と目標を語った。

おかゆは渋谷に憧れて17歳で上京後、故郷・北海道で、歌手になることを夢見ていた母が事故で他界。「何1つ親孝行できず、亡くなった日の朝の電話も無視した。後悔の念に、すごく包まれて…でも、歌手になりたかった母の夢を、かなえることで恩返しができる」と歌手になることを決意。14年から東京・湯島でスナックや居酒屋を巡り、流しとして客のリクエストに応えて歌い、自身の存在と歌を広めていく活動を始めた。47都道府県全てでの流しと、亡き母の口癖だった「七転び八起き幸せに」を数字に置き換えて、流しで出会った7842人と写真を撮ってブログに上げることを目標に掲げた。19年4月には都道府県全てでの流しを達成し、同5月1日に「ヨコハマ・ヘンリー」でメジャーデビューし、オリコン演歌・歌謡曲チャートで初登場3位を獲得した。

メジャーデビューしたことで多忙になったこと、その後のコロナ禍による飲食店への規制で、約2年にわたって流しをすることもかなわなかったが、10年前の目標に向けて23年から個人でスナックや居酒屋に飛び込み、流しを再開。そして母の命日の4月20日に、母にいつも連れられて行っていた北海道・札幌市のスナック「ひろ川」のマスターに向けて流しを行い、7842人目の写真を撮影し、10年越しの目標を達成した。

おかゆはこの日、取材陣を前に「1000曲くらいはある」という流しのレパートリーの中から、藤圭子さんの代表曲「圭子の夢は夜ひらく」、佳山明生(77)の「氷雨」、そして「渋谷ぼっちの歌謡曲」を流しのスタイルで披露した。さらに、同じ渋谷で流しをしていた、北島三郎から教わったという流しののギターの持ち方まで披露した。

母に伝えたいことは? と聞かれると「『流しから歌手になったよ』と伝えたい。ありがとう…ここまで生かされた、強くしてくれたのは、母が生きる目標をくれたから。歌うことで、救われた。アーティストになっていきたい。母の夢は、流しじゃない…それに、私自身の夢をかなえていきたい」と語った。

目指すアーティスト像は? と問われると「高橋真梨子さんのような全国ツアー、ディナーショーができるアーティストになりたい。自分で曲を作るのが、こだわりなので、みんなが分かるヒット曲を作りたい」と目標を語った。