女優吉行和子さんが2日午前0時19分、肺炎のため都内の病院で亡くなったことが9日、分かった。所属事務所が発表した。90歳だった。故人の遺志により、葬儀は近親者のみで執り行ったという。

吉行さんは中3の時に初めて見た劇団民芸の舞台に感激し、同劇団に入り女優を志した。57年に「アンネの日記」で主演し、初舞台を踏んだが、33歳の時に民芸を退団。役に恵まれず、葛藤を抱えた時期もあったが、1年に1度、自分で演目を探し、自分でスタッフも集める形での舞台公演を始め、92年から13年続けた1人芝居「MITSUKO」では、海外公演も行った。 自ら企画した公演を支えに活動を続けると、フジテレビ系ドラマ「ナースのお仕事」ではヒロインの看護師たちを見守る婦長役を好演。06年「佐賀のがばいばあちゃん」や08年「おくりびと」などの映画で個性的な役を演じるなど、数々の作品で存在感を示した。 父は作家吉行エイスケさん、母は97年NHK連続テレビ小説「あぐり」の主人公のモデルにもなった美容師の吉行あぐりさん。さらに兄の吉行淳之介さん、妹の吉行理恵さんともに芥川賞作家という一家に育った。17年に、映画「家族はつらいよ2」に出演した際の本紙インタビューでは「家族はいるけど、我が家はみんなで食事したり悲しんだり喜んだりっていうのを経験しないまま終わっちゃった。今1人になってしまって、そういうことをまったく知らないで一生終わっちゃうはずが、この映画に出ることによって家族っていいなと思えました」と話したこともあった。

以下、発表全文。

訃報

弊社所属の吉行和子が9月2日未明肺炎のため永眠いたしました 享年90

故人の遺志により葬儀は近親者のみで執り行いました

ここに謹んでお知らせ申し上げますとともに

吉行和子が生前受け賜りましたご厚誼に深く御礼申し上げます

2025年9月8日

有限会社テアトル・ド・ポッシュ

◆吉行和子(よしゆき・かずこ)1935年(昭10)8月9日、東京都生まれ。54年劇団民芸に入団。69年に退団後、74年舞台「蜜の味」で紀伊国屋演劇賞個人賞受賞。映画は「御法度」「佐賀のがばいばあちゃん」「おくりびと」「燦燦(さんさん)」などに出演。79年「愛の亡霊」、14年「東京家族」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞受賞。ドラマはTBS「3年B組金八先生」TBS「ふぞろいの林檎たち」など。