ギタリスト山本恭司(69)率いるハードロックバンドVOW WOWのライブ「The 40 Years of VOW WOW III Celebration」を観覧した。おじさん記者の率直な感想とともに、解散から約35年をへても、今なお愛される理由を考察してみた。
今回はオリジナルメンバー山本、人見元基(ボーカル)、厚見玲衣(キーボード)に加え、サポートメンバーに永井敏己(ベース)、そして、山本の息子真央樹(ドラム)という布陣。80年代から見ているが、当時と同等、もしくはそれ以上に感じた。このメンバーで、バンド活動を続けて欲しいとさえ思った。
冒頭“ハードロックバンド”と称したが、VOW WOWは単なるハードロックバンドの枠に収まらないとも思った。実際、メンバーそれぞれが、ジャンルにとらわれない活動をしている。その5人が集まることで、単純な足し算ではない相乗効果を生み出している。
中でも強力なのが、人見のボーカル。個人的には“人間国宝”“無形文化財”級であり、間違いなく日本の宝だ。以前も書いているが、身体が楽器のボーカルにとって、加齢はハンディとなる。だが、68歳の人見には、全く無用の心配なのかもしれない。80年代当時と全く遜色のないその声。そして、アカペラのボーカルソロ「Cry me a river」で見せた圧倒的表現力。約8000人の会場が、まるで誰もいなくなったのかのような水を打った静けさで聞き入った。
ハードロックバンドのボーカリストにとどまらず、ジャズ、R&B、ソウルなども歌っているので、まだ聞いた事がない方はぜひソロアルバムI「Sings Standards」を聞いて欲しい。
VOW WOWとしては、昨年1月にもライブを開催。この時のサポートドラムは岡本邦男だった。もちろん、岡本のドラムが悪いと言っているわけではないが、永井と真央樹のリズム隊はそれ以上に強烈だった。オリジナルメンバー3人が持ち前の超強力な個性を発揮できたのは、あのリズム隊があったからだ。
VOW WOWは現状、パーマネントバンドではない。このライブのために集まったいわばプロジェクトであり、リハーサル日数も限られていたはずだ。オリジナルメンバーはともかく、このリズム隊は今回が初めて。それでも、まるでオリジナルメンバーだったかのようにさえ感じさせた。
ロックサウンドならではの激しいさはもちろん、バラードでのスケール大きさ、奥行き感や壮大さも感じさせた。実際、バラード曲「PAINS OF LOVE」では目を潤ませる観客もいたが、おじさん記者もその1人だった。
最近のハードロックシーンでは、超絶テクニック系が多い。だが、おじさん記者にとっては無機質に感じるバンドが多い。そんな中、VOW WOWには唯一無二の“エモさ”がある。今なお愛される理由は、ここにあるのかもしれない。
そして、山本親子のX(旧ツイッター)でのやりとりにも心温まるものがあったので、紹介しておく。
ライブ終了後、真央樹は「VOW WOWの活動時はまだ生まれてないので、小さい頃からビデオでしか見なかったんですが、時を経て、まさか自分が父の背中を見ながらたたくことになるとは…」と投稿。
これに山本が「ありがとうな真央樹。まずミュージシャンとして最高だった。父としても感無量だった」と返信。さらに真央樹は「ステージ上の紹介で、あえて息子って言わないところで、同じ目線で、ミュージシャンとして一緒に演奏してるって感じたよ! 舞台袖行くと急に親子っぽいけど!(笑)」と応じている。これはこれで“エモい”!【川田和博】



