80年代半ばに活躍した往年のアイドル松本典子(43)が、19年ぶりに“歌手復帰”したことが26日、分かった。NHKBSプレミアム「J-POP青春の’80」(9月8日午後8時)で、アイドル時代と変わらない歌声と振りを披露した。92年にプロ野球元ヤクルトの笘篠賢治氏(44=野球解説者)と結婚後、子育てと家庭を第一に芸能活動を控えていたが、歌が大好きの思いは変わらず、NHKからオファーを受けて快諾した。

 既に収録は行われ、松本は真っ青に輝くステージに立った瞬間、口元は硬く結ばれていた。しかし、86年のヒット曲「儀式(セレモニー)」のイントロが流れると、当時そのままの歌声、振りがよみがえった。

 2分23秒のステージを終えると「すごく緊張しました。歌詞も飛ぶんじゃないかと思ったけれど、ちゃんと覚えていた。振りを付けて歌うのが難しかった。でも一緒に口ずさむお客さんもいらっしゃって、知っててくださってるのかなと思いました」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 結婚後は「両方をうまくできるタイプではない」と芸能活動を控え、家庭と子育てに専念した。引退こそしなかったが、02年にテレビ東京の番組で歌のサビを1フレーズ口ずさんだ以外は、表舞台に出なかった。ただ昔から大好きだった歌への思いは、胸の奥に秘めており、6月にNHKから「レッスンを受けてもいいから、やってみてください」とオファーを受け、出演を決意した。

 夫に伝えると「えっ、歌えるの?」と言われ、16歳を筆頭とした3人の息子からも「大丈夫?」と心配された。だが、「とにかく頑張って自分でやってみるから」と説得。「おさかな天国」で知られる、歌手でボイストレーナーの柴矢裕美氏に連絡を取って指導を2度受け、家でできるトレーニングメモをつくってもらい、収録当日まで練習を続けた。

 今後についても「時間が合えば少しずつ始めていければ」と歌への意欲を見せる。野球解説者として多忙な笘篠氏も「自分の仕事がないときは、やってもいいよ」と言っているという。松本はファンに向け「ブランクがあると怖い。年齢も重ねて体形も変わる不安もある。でも仕方がないこと。私もみなさんも一緒に年を重ねているんだよ、一生懸命頑張ってやろうねってメッセージを送れれば」と笑みを浮かべた。

 ◆松本典子(まつもと・のりこ)本名・笘篠美和子。1968年(昭43)1月30日、群馬県伊勢崎市生まれ。84年8月にミスセブンティーンで、18万人の応募者の中からグランプリを獲得し、翌85年に「春色のエアメール」で歌手デビュー。「松田聖子2世」のニックネームで、バラエティー番組でも活躍。89年にヤクルトのファン感謝デーにゲスト出演した縁で、笘篠賢治氏と交際し92年に結婚。3人の男の子を出産した。158センチ、血液型B。