名曲「スタンド・バイ・ミー」で知られる米国ソウル歌手の大御所ベン・E・キング(72)が、「上を向いて歩こう」を日本語で歌うことが6日、分かった。3月11日の東日本大震災に、遠くニューヨークの地で心を痛めていたところ、米国でも「SUKIYAKI」という名で有名な同曲が、あらためて日本で注目を浴びていることを知り、「ぜひ、励ましの意味を込めて私も歌いたい」とレコーディングした。

 来日14回の親日家キングは「日本は私にとっても第2の故郷だ。今回の『上を向いて歩こう』は、ジョン・レノンが私の『スタンド・バイ・ミー』に込めた思いと同じ。命が宿った曲、素晴らしい意味を持つ曲は、歌いたくて仕方なくなるんだ」と説明した。実は、時代を超える普遍的な歌「スタンド・バイ・ミー」と「上を向いて歩こう」は、ともに1961年(昭36)発売で、今年50周年。関係者は「米国民のスタンダード曲を歌うキングが、日本人のスタンダード曲を歌うことに意味がある」と興奮気味に語った。

 「上を向いて歩こう」は、震災直後に和田アキ子や矢沢永吉ら総勢71人の歌手・俳優がサントリーの企業CMで歌い、復興ソングとして再注目され始めた。映画「コクリコ坂から」の挿入歌になり、テレビ番組の「今聴きたい名曲」の人気1位に。NHKは、阪神大震災の時も今回も歌われているとして、7月に特集番組「上を向いて歩こう~日本人の希望の歌

 その真実~」を放送した。キングは「SUKIYAKIが大変な時期に歌われる理由は分かる。私の歌も被災者の皆さんの心に響いてくれたら何より」と話した。

 アルバム「Dear

 Japan,

 上を向いて歩こう」は11月16日に発売され、キングは同19日にビルボードライブ東京で来日公演を行う予定だ。【瀬津真也】

 ◆ベン・E・キング

 1938年9月28日、米ノースカロライナ州生まれ。58年にR&Bグループのドリフターズに加入。60年にソロに転向し、61年に「スタンド・バイ・ミー」が大ヒット。同曲は75年のジョン・レノンら多くの歌手にカバーされ、86年には同名の映画の主題歌として再ヒット。スタンド・バイ・ミー財団を設立し、慈善活動もしている。