歌舞伎俳優市川猿之助(71)が2代目市川猿翁、市川亀治郎(35)が4代目市川猿之助、香川照之(45)が9代目市川中車(ちゅうしゃ)、香川の長男政明君(7)が5代目市川団子(だんこ)を来年6月の東京・新橋演舞場の初代市川猿翁・3代目市川段四郎五十回忌追善興行で襲名することが27日、発表された。亀治郎は「歌舞伎のため決意した」。

 亀治郎にとって襲名は「降ってわいたような話でした」という。「人生計画では一生亀治郎を変えないという興行をするつもりだった。猿之助はあこがれの名だったけれど、なりたいとは思わなかった。ただ、伯父のたっての願いもあり、僕も好き放題をしてきたので(襲名が)恩返しになればと思った」。

 猿之助の名前は初代が1871年(明4)に名乗って以来、名跡の生前贈与が続き、140年間、1日も途絶えたことがない。今回は病気で舞台に立てない猿之助が猿翁と改名し一線を退き、亀治郎が4代目猿之助として現猿之助の得意演目、精神を受け継ぐもので「伯父には『僕の残したものを残してくれ』と言われた。できれば、死ぬ時に猿之助を譲って、亀治郎になって死にたい」と、話した。

 猿之助襲名公演は演舞場で来年6、7月と続き、13年は1月大阪松竹座、3月名古屋御園座、6月博多座、12月京都南座と続く。猿之助も来年6月は口上などで出演の予定。