堀内詔子五輪相兼ワクチン担当相(2021年11月30日撮影)
堀内詔子五輪相兼ワクチン担当相(2021年11月30日撮影)

東京オリンピック・パラリンピックが終わってから半年が過ぎ、まもなくやってくる年度末。東京大会のために設置された五輪大臣が、今年3月いっぱいでその役目を終える。特別措置法が成立した2015年6月以降、本来の閣僚ポスト枠からひとつポストが増やされ、専任の五輪相が置かれてきたが、特措法でもともと今年3月末までと期間は決まっており、「任期満了」に。同時に閣僚ポストは現在からひとつ減ることになる(内閣法では閣僚ポストは17人と決められ、現在五輪相含めて3大臣が、特措法に基づき有期間の大臣として設置されている)。

現在は、昨年10月4日発足の岸田内閣で初入閣した堀内詔子氏が、ワクチン相と兼任で務めている。ただ、堀内氏はかねて、ワクチン政策での国会答弁などでの不安定さが指摘されてきた。五輪相の任期満了とともに「ワクチン相も退任するのではないか説」が、ささやかれている。一方、堀内氏が退任すれば、女性の大臣が1人減る。後任の名前が早くも複数取りざたされる永田町では、岸田文雄首相の判断が注視されている。

東京大会の招致決定以降、これまで堀内氏まで計6人が五輪相を務めた(再任を含む)。本来は有終の美を飾るはずの堀内氏だったが、いま置かれた立場は何とも厳しい環境だ。現在は五輪相というより仕事の主流はワクチン政策だが、国会の予算案審議は参議院に移った後も、ワクチン政策で答弁に立つのは後藤茂之厚労相だったりすることも多い。ワクチンの3度目接種がなかなか進まないとされる中、大臣としてのリーダーシップもあまり示せないでいる。前任者の河野太郎・自民党広報本部長の押しの強さの印象が、なかなか消えない。その堀内氏が五輪相でもあることを、今、どれほどの人が認識しているだろう。

ところで、あらためてこれまでの五輪相を振り返ってみると、五輪に向けた実務政策を期待されて就任した人もいれば、話題性や「閣僚待機組」の割り振りポストとしか思えないケースも。「お騒がせ」もあった。

専任大臣としての初代は、長年スポーツ政策に尽力してきた遠藤利明氏(現・自民党選対委員長)が就任。その後を継いだ丸川珠代氏は、当時政権を率いていた安倍晋三元首相に近く「安倍人事」の一環でもあった。大会直前の森喜朗氏の発言問題の流れを受けて再任され、大会期間中の大臣でもあったが、東京都の責任者小池百合子知事とのぎくしゃくした関係も指摘された。

小池百合子都知事(右)に五輪相就任あいさつに訪れた際の桜田義孝氏(18年10月3日撮影)
小池百合子都知事(右)に五輪相就任あいさつに訪れた際の桜田義孝氏(18年10月3日撮影)

失言で辞任に追い込まれたのは桜田義孝氏。当時当選7回という「閣僚待機組」での初入閣ポストが、なんと五輪相だった。国会での迷走答弁が「炎上」することもたびたびだったが、自民党議員のパーティーで議員の名前を挙げ「(東日本大震災の)復興以上に大事」と発言し、一発退場。一気に「桜田政局」となり、第2次安倍政権を揺るがす事態になった。その後は、現財務相で堅実な鈴木俊一氏が継いだ。

五輪相就任時、東京都庁を訪れた橋本聖子氏(19年9月17日撮影)
五輪相就任時、東京都庁を訪れた橋本聖子氏(19年9月17日撮影)

森喜朗氏の辞任を受けて大会組織委員長に就くまで五輪相だった橋本聖子氏は、「五輪の申し子」でもあり、ある意味「最適任」だったケースかもしれない。そんな歴代の大臣を、東京大会終了後に引き継ぐ形となったのが堀内氏だ。岸田派に所属し、初入閣が13人とフレッシュさが強調された岸田内閣のひとりでもあるが、裏を返せば「派閥優先」の論功行賞人事でもあった。それだけに堀内氏の去就の行方、岸田氏の判断が注目されているわけだが、東京2020を担ってきた歴代五輪相の「幕引き」という観点からは、ちょっと寂しい感がある。【中山知子】