マカオの10月は、音楽とパフォーマンスの秋。今年も恒例の「マカオ国際音楽祭」が開催され、世界各国から名だたるアーティストが集まり、音楽プログラムが上演されます。音楽祭と聞くとやや堅苦しいイメージもありますが、プログラムはオペラから室内音楽、中国の民族音楽、ジャズにミュージカル、人気アイドルグループのライブと多彩。さらに、時期を同じくして、ポルトガル系コミュニティーの最大のお祭りも開催され、街は大いににぎわいます。【取材・構成 芹沢和美】

目玉はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会

鄭家屋敷で演奏を行う中国民族楽器のグループ「江南小調」
鄭家屋敷で演奏を行う中国民族楽器のグループ「江南小調」

約1カ月にわたり、17プログラム全22公演を予定している「マカオ国際音楽祭」。33回目を迎える今年は「演奏者」をテーマに、あらゆる場所でパフォーマンスが行われる。

年々豪華になるこの音楽祭の今年の目玉は、10月21日(月)・22日(火)にマカオ大学・ライブラリープラザで行われるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会だ。

この音楽祭がユニークなのは、ホールだけに限らず、世界遺産の建物や路上でもパフォーマンスが行われること。「鄭家屋敷」では、中国民族楽器のグループ「江南小調」が演奏を披露。中国式邸宅に響く中国古来の楽器は、ホールで聴くよりもさら心地よく心に響くことだろう。また、今年は、「ストリート・ピアノ・プログラム」と題して、世界中で流行しているストリートピアノを設置。誰でも、もちろん旅行者でも、自由に演奏をすることができる。ピアノの設置場所は、半島部の三盞燈と孫文記念公園(~10月11日)、コロアンの石排灣廣場と半島北部「蓮渓廟」周辺(10月12日~27日)を予定(天候により室内に変更する可能性あり)。

奇しくも音楽祭と時期を同じくして、「ザ・ヴェネチアン・マカオ」のホールでは、10月13日(日)にカナダのシンガー・ソングライター、ショーン・メンデスのライブが、10月19日(土)には男性アイドルグループ、バック・ストリート・ボーイズのコンサートも行われる。

民族舞踊のショーも「ルゾフォニア・フェスティバル」

民族舞踊などのショーも披露「ルゾフォニア・フェスティバル」
民族舞踊などのショーも披露「ルゾフォニア・フェスティバル」

もう1つ、マカオならではの秋のイベントといえば、「タイパ・ハウス・ミュージアム」前で行われる「ルゾフォニア・フェスティバル」だ。今年の開催は、10月18日(金)~20日(日)。「ルゾフォニア」というのは、ポルトガル、ブラジル、アフリカ、アジアなどのポルトガル語を公用語とする(した)諸国・地域のこと。祭典の期間中は、ポルトガル料理や手工芸品の屋台が並び、民族舞踊などのショーも披露される。マカオが中国に返還されて20年を経てもなお引き継がれるポルトガルの文化が楽しみだ。

美しい建物や歴史に育まれた独特の街並みに音楽が鳴り響き、市民が普段着のまま楽しんでいるのも、マカオらしい光景。暑さも和らぎ、過ごしやすくなりつつある初秋のマカオで、音楽やカルチャーに浸る「芸術の秋」を体験してみては?