日本は梅雨時を迎え、蒸し暑さが増す6月。マカオも、比較的雨が多いシーズンに突入しています。そんな気候がもたらす美しいものといえば、蓮の花。この時期、街のいたるところで蓮の花が咲き乱れ、毎年恒例のロータス・フラワー・フェスティバルも開かれます。高温多湿な夏のマカオにとって、蓮の花は一服の清涼剤。たとえ晴れていなくても、エキゾチックな香りに誘われると、街を歩きたくなります。【取材・構成 芹沢和美】

まるで水墨画「ロータス・フラワー・フェスティバル」

ハスの花
ハスの花

マカオを歩いていると、あちらこちらで蓮や蓮をモチーフにしたものに出会う。まず目に入るのは、地上58階、高さ260メートルの「グランド・リスボア」。キラキラと光る蓮の形をした奇抜な建物は、強烈なインパクトで迫ってくる。

モネの「睡蓮」(すいれん)のような景色が見られるのは、「タイパ・ハウス」の周辺。ペパーミントグリーンの建物の前には、美しい蓮の池が広がり、まるで絵画のよう。そのコントラストは、マカオ特別行政区の旗に描かれたデザインをほうふつとさせる。

水墨画のような蓮の風景を見せるのは、半島部にある「ロウリムイオック庭園」。奇岩や曲がり橋などを配した蘇州式回遊庭園にある池は蓮でびっしりと埋め尽くされ、開花する朝は幻想的な風景を醸し出す。

そんな街のシンボル、蓮をテーマにした祭りが、毎年恒例の「マカオ・ロータス・フラワー・フェスティバル」だ。19回目を数える今年の開催は6月3日(月)~16日(日)。期間中、市内各地に特定の蓮の品種が展示されるほか、公園やメインストリートに鉢植えがずらりと並び、エキゾチックな香りを漂わせる。

年々規模が拡大!「マカオ国際ドラゴンボートレース」

マカオの暑い夏を象徴するマカオ国際ドラゴンボートレース
マカオの暑い夏を象徴するマカオ国際ドラゴンボートレース

同じ頃に開催されるもうひとつの恒例行事が、「マカオ国際ドラゴンボートレース」。船首に竜をかたどった細長いボートでスピードを競う、熱い祭りだ。起源は中国の端午節(5月5日)にあるが、年々規模が大きくなり、今年は旧暦の5月5日である6月7日(金)に加え、1日(土)、2日(日)にも開催される。

祭りにおいしいものは欠かせない。「マカオ・ロータス・フラワー・フェスティバル」の期間中、中国レストランには、蓮にまつわる料理が登場。蓮の実をペースト状にした蓮餡(はすあん)を入れた中華スイーツや、蓮の花をイメージした広東料理は、見た目も楽しませてくれる。「マカオ国際ドラゴンボートレース」は、風物詩の粽(ちまき)をほおばりながら。もち米の中にたけのこや肉を入れ、笹の葉で包み蒸した粽は、日本人にもなじみが深い。目と舌で楽しめるマカオのフェスティバルを、ぜひ旅のプランに盛り込んでみては?