旧宗主国のポルトガルから中国に返還されて、今年で20年を迎えるマカオ。この間、マカオは開発が進み、大きく変貌を遂げました。その象徴といえば、大型ホテルやシアター、ショッピングモールが林立するコタイですが、隣接するタイパの変化ぶりにも目を見張るものがあります。【取材・構成 芹沢和美】

高層マンション続々!94年&04年の橋開通で開発加速

タイパはコロアンと同様に、かつては半島部と海を隔てる島だった。今でこそ橋を渡り簡単に行くことができるが、1974年にマカオ・タイパ大橋が開通するまでは、半島部からの移動手段は船のみ。往復にも時間を要していたという。橋が架かると高層マンションが続々と建築され、人口は爆発的に上昇。その後、1994年にフレンドシップ橋、2004年に西灣大橋が開通すると、開発はさらに加速した。

タイパが島だったころの、この地の代名詞といえば、火薬(爆竹)産業。最盛期を迎えた1900年代前半には、7つの工場が稼働し、最大規模の「益隆炮竹廠」では約3000人が働いていたという。やがて1960年代に入ると火薬産業は下火となり、1990年、製造中止に。現在、「益隆炮竹廠」の跡地は、当時の様子を紹介する博物館となっている。

日本居酒屋チェーンも登場!国際色豊かな店がずらり

「佛笑楼」のアフリカン・チキン
「佛笑樓」のアフリカン・チキン

時は変わって現在。タイパを一言で表すならずばり、「グルメシティ」だ。観光客にもおなじみとなっているのは、中心部のタイパ・ビレッジにある官也街だろう。別名フードストリートと呼ばれる名のとおり、200メートルほどの短い通りには、さまざまなジャンルのレストランが軒を連ねている。

かつては広東やポルトガル、マカオ料理、マカオ名物のアーモンドクッキー店がずらりと並ぶ景観で知られていたが、近年はワインバーやビアパブ、モダンなインド料理店、現地で人気の日本居酒屋チェーンなども登場し、国際色はますます豊かに。

黄枝記のおすすめ麺料理「蝦子麺(ハァチーミン)」
黄枝記のおすすめ麺料理「蝦子麺(ハァチーミン)」

路地裏にも店舗が増え、カラフルな建物とあいまって、一帯はグルメのテーマパークのようになった。また、エッグタルトの有名店「ロード・ストウズ・ベーカリー」のスタンドショップのほか、麺屋「黄枝記」や、アフリカン・チキンで有名なマカオ料理の「佛笑樓」など、老舗もタイパ・ビレッジに支店を構えている。

タイパ・ビレッジは、ユネスコの「食文化創造都市/シティ・オブ・ガストロノミー」に認定されたグルメ都市マカオの、縮図ともいえる場所。タイパを訪れるなら、ぜひ、おなかを空かせていきたいものだ。