一大開発が進み、コタイに次々と新しいホテルやエンターテインメント施設が誕生しているマカオ。一方で、街の人々の間では、伝統的な行事も大切に受け継がれています。8月の楽しみは、ロマンチックな夏の伝統行事。日本にも伝わった節句にまつわるイベントが行われ、街は華やぎます。【取材・構成 芹沢和美】

日本の七夕「七姐誕」は円卓で家族でごちそうを囲む

新橋花園の外観
新橋花園の外観

「恋人たちの節句」。そんなロマンチックな愛称で呼ばれているのが、「七姐誕」。旧暦の7月7日(今年は8月7日)に行われる祭事で、日本の七夕のルーツでもある。

天の川によって離れ離れになってしまった織女(織姫)と恋人の牛郎(彦星)が、カササギの哀れみによって架けられた橋のおかげで、年に1度だけ会うことができる―。そんなストーリーは、日本の七夕とまったく同じだが、中国では、織女には6人の姉がいたと伝えられ、そこから「七姐誕」という名前がついたという説もある。

七夕といえば、日本では願い事を書いた短冊を笹(ささ)に飾る風習がある。マカオでは、半島部の新橋花園に円卓が設置されたり、家族や親族が集まってごちそうを食べたり、「七姐誕」を象徴する蘭の花を使ったワークショップが開催されたりなど、よりにぎやか。そして恋人たちにとっては、日本のバレンタインデーにも似た意味合いがあるのだという。

日本のお盆「孟蘭節」は最愛の人へのお祈りとお供え

伝統的な中国武術の祭典「武術マスター・チャレンジ」の様子
伝統的な中国武術の祭典「武術マスター・チャレンジ」の様子

もうひとつ、マカオの人々にとって大切な夏の行事が「孟蘭節」。日本のお盆にも似た節句で、旧暦の7月14日(今年は8月14日)に行われる。この頃に住宅街を歩いていると、紙で作った玩具や家具などを道路や玄関先で燃やしている光景に出会うかもしれない。これは、先祖の霊と、成仏できずにさまよっている霊を供養するために行われているもの。同時に、「最愛の人をお守りください」と紙に書いて祈り、肉や果物もお供えする。老若男女がこの節句を大事にしているところに、マカオの人々の信心深さがうかがえる。

中国の行事には、そんなしっとりとしたものもあれば、エキサイティングなイベントも。伝統的な中国武術のマスターたちが腕を競いあうのが、「武術マスター・チャレンジ」。今年の開催は8月1日(木)~4日(日)。カンフー映画も顔負けの本格的な武術が目の前で繰り広げられ、熱い4日間を体験できる。