9月にマカオを訪れる楽しみは、なんといっても伝統色に彩られる華やかな夜景。毎年、旧暦の8月15日(今年は9月13日)は中秋節にあたり、盛大にお祝いされます。残暑のなかにも秋の気配を感じ始める夜空に紅(あか)いランタンが揺れる風景は、マカオの秋の風物詩となっています。さらに、この時期最大の楽しみといえば、毎年恒例の「マカオ国際花火コンテスト」。世界中に数ある花火大会のなかでも最高レベルと評価され、各国から集結する花火師チームが技と美を競います。【取材・構成 芹沢和美】

ランタンずらり中秋節…世界遺産も街中もきらびやか

中秋節にランタンで彩られたマカオの街並み
中秋節にランタンで彩られたマカオの街並み

暑さが少しずつ和らぐ9月、マカオで着々と進められるのが、旧暦8月15日の満月に祝われる中秋節の準備だ。今年の中秋節は9月13日(金)。その2週間ほど前から、店先には月餅が並び、世界遺産もにぎやかなダウンタウンも、5つ星ホテルのエントランスも、いっそうきらびやかに飾られる。

庶民の買い物ストリート、下環街を歩いてみると、おもちゃ屋さんの軒先や出店にランタンがずらり。ランタンというのは、紙製の提灯(ちょうちん)の中にロウソクや電気を入れて照らす中国風提灯のことで、最近では、アニメのキャラクターを描いたものも人気だ。この時期は、オブジェのような巨大ランタンも街のあちらこちらに登場する。定番は蓮と魚の形をしたもの。これは、蓮と魚の発音が、「年々お金に余裕が出る」という言葉とよく似ているからで、縁起を担いでいるのだとか。

中華圏では昔から、満月は家族だんらんのシンボルで、中秋節は家族で過ごす大切な日。ここマカオでも、中秋節の夜は家族そろって夕食を食べ、食後はランタンを手に公園や浜辺、広場など月がよく見える場所に行ってお月見をするのが習慣となっている。中国本土では中秋節当日が祝日だが、マカオは翌日がお休み。友だちや家族と夜遅くまで祝うため、次の日は学校も職場も休みという、なんとも粋なはからいだ。

世界最高峰の技と美…「マカオ国際花火コンテスト」

そんなお祭りムードのなか、夜空に打ち上がるのが盛大な花火。毎年恒例の「マカオ国際花火コンテスト」も、今年は30回目の節目を迎える。もともと爆竹などの火薬産業が盛んだったマカオで発足したこの花火大会は、いまや世界最高レベルに成長。毎年、世界中から腕利きの花火師チームが参加しているが、今年はさらに増え12カ国のチームが腕を競う予定だ。

この大会がユニークなのは、花火だけでなくBGMとレーザーショーで競うということ。花火が打ち上がるのは、マカオタワーの正面の海上。対岸のタイパの空を照らす花火とレーザー光線、そして音楽の競演がみごとだ。日本とはまた違った花火は、マカオならではの芸術といえるだろう。