千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件で、強制わいせつ致死、殺人などの罪に問われた渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判第5回公判が11日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で開かれ、DNA鑑定を担当した千葉県警科学捜査研究所の女性主任研究員が検察側証人として出廷した。

 検察側の主尋問で主任は、リンさんの遺体の腹部から採取した試料から唾液と血液の成分が採取されたと証言。同じ試料のDNA鑑定ではリンさんと渋谷被告の2人分のDNA型が検出されている。主任は「DNAが出ているのに血液、唾液がどちらの持ち主のものでもないとは考えにくい」と、渋谷被告の唾液である可能性に言及。唾液は顔、左右の耳、左右の胸、腹部、下腹部から検出された。

 DNA鑑定に捏造(ねつぞう)の可能性があるなどとして無罪を主張する弁護側は、鑑定手順を1つ1つ確認。汚染や意図的混入の可能性を探った。リンさんのDNA型を含む混合DNA型が検出された目隠しフェイスマスクの付着物の一部について「被告でも被害者でもないDNA型があったか」と確認すると、主任は「あったと記憶している」と証言。一部の試料からは第三者のDNAも検出されていたことを確認した。

 第2回公判以来、DNAの採取から運搬、保管、鑑定にいたるまで、今回の事件のDNA鑑定に関わった県警の鑑識課などの捜査員や科捜研研究員の計10人が証人として出廷。弁護側は県警による捏造(ねつぞう)の可能性を指摘しているが、この日の主任研究員を含めた10人全員が、リンさんや渋谷被告のDNAを、故意に証拠に混入したかどうか問われ、いずれも否定している。