東名高速道路で17年6月に、あおり運転を受けて無理やり停車させられた萩山嘉久さん(当時45)友香さん(当時39)夫婦が、別のトラックに追突されて死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた石橋和歩被告(26)の裁判員裁判(深沢茂之裁判長)の判決公判が14日、横浜地裁で開かれ、懲役18年が言い渡された。横浜地裁は、自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪が成立すると認めた。

判決公判後、取材に応じた石橋被告の弁護人2人は、同被告が10月に拘置所から弁護人に無断で一部報道機関に「面会したいなら30万円を払え」などと書いた手紙を送ったことについて、意思疎通は出来ていたのか? などと質問された。

弁護人は「公判前に、マスコミ各社から取材依頼から来ていると本人から聞いていた。私からは、応じる法律的義務はないとお伝えしていたのだが…報道機関に手紙をお送りしたということは、私も報道で知った」と同被告が弁護人に無断で報道機関に手紙を送ったことを認めた。その上で「その点、思うところはある。ビックリしたのが本音」と吐露した。

その一方で「彼は決してお金が欲しくて、ああいう手紙を書いたわけではない」とも言及。同被告が自らの主張を表明したかったのではないかとした上で、不可解な行為を生んだのは「こういうことをしたら相手がどう受け止めるかという共感性の欠如ではないか」と説明した。また、報道機関に出した手紙が、ニュースとして報じられていることを知った石橋被告が「(報道されたと)初めて知って、マズいことをしたと認識していたようだった」とも明かした。

その上で、弁護人は「被害弁償したいという気持ちは持っている。でも感情も出さず、浮き沈みも感じられない人。自分の思っていることを話したり、手紙で書いたり、表現することが得意でない人とは接していて感じました」と同被告を評した。【村上幸将】