常識を覆す「変わり種の名刺」が注目を集めている。お菓子を活用した企業ブランディングなどを手掛けるエスプライド(本社・東京都渋谷区)は「社長チップス」を展開し、企業PRにつなげている。

05年創立の同社は、お菓子を通じた「企業のファンづくり」をモットーとする。西川世一代表(40)は、おやつを使って企業の課題解決が出来ないかと考え、「社長チップス」を開発した。

ポテトチップスのおまけとして、社長の顔写真付きのカードに、座右の銘や各項目を自己採点した社長戦闘能力などを記した。味は「汗と涙のCEO(しお)味」とユニークだ。16年4月に発売して以来、さまざまな社長が登場。現在はBリーグ球団の社長らも名を連ね、発売当初から3年間で参加企業は約10倍に増加した。年内には、1000社の参加を目指している。社長チップスについて西川氏は「企業のPRにもなるし、ユーモアやインパクトもあってポテチもつまみたくなる。名刺交換する時の会話も弾み、お菓子をビジネスメディアとした弊社の会社説明会などで学生に配るとつかみはバッチリです。ただ、正直、ここまでヒットするとは思いませんでした」と驚きを隠せない様子で話した。

今年4月のプロ野球ロッテ戦では「社長チップス限定 福浦和也選手カード」が、来場者先着2万5000人に配布されて反響を呼んだ。社長チップスがテレビや新聞などで多数報道されたことで、参加する社長たちにもビジネスチャンスが広がった。新たな取り組みとして、経済誌「フォーブスジャパン」と組み、社長同士や学生と社長の新たな交流を促進する「チャーミング・チェアマンズ・クラブ」(通称・CCC)を始めた。7月からはCCCの全国ツアーも実施予定だ。西川氏は「情熱があって地方で頑張る社長を知らない学生は多い。学生は魅力ある社長から学び、CCCのネットワークが広がることで地域活性化などにもつなげていけたらと考えています」と説明した。

おもしろ名刺は、他にもある。名刺管理サービスSansanは、一部社員が厚さ5ミリの食べられるクッキー名刺を使用する。日清食品グループは、13年秋からカップヌードルなど代表商品の形をした名刺を使うなどしている。個性が求められるこの時代で、1枚の名刺が仕事の大きな武器になるかもしれない。