将棋の記録係が無人化される。日本将棋連盟とリコーは20日、人工知能(AI)の技術を活用し、棋譜を自動的に生成する「リコー将棋 AI棋譜記録システム」を開発したと発表した。対局の盤面を天井からのカメラで動画撮影し、AIソフトに取り込んで解析。リアルタイムで棋譜が生成され、連盟の「棋譜データベース」に取り込まれる。来月からスタートする、第9期リコー杯女流王座戦本戦トーナメントから実証実験を始める。

現在、年間3000局以上行われている対局は、記録係が棋譜と持ち時間の計時を主導で行っている。その大半はプロ棋士養成機関「奨励会」の会員でまかなっているが、高校や大学に進む会員の増加、対局数の増加で、慢性的な記録係不足となっていた。1年ほど前から人員不足解消のため、開発を進めてきたという。完全導入になれば、記録係の必要はなくなる。

日本将棋連盟・佐藤康光会長(49)は、「棋士が人生をかけて1手1手築き上げた棋譜は、将棋の技術発展の上で大きな財産。ファンが将棋の面白さや棋士の個性を確認する魅力的なものでもある。新たな活用が期待できるし、万全の形になるように協力していきたい」と話した。暫定運用から始めるが、主催者側と相談して、来年4月以降の本格運用を目指す。