将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が24日、大阪市の関西将棋会館で指された第61期王位戦挑戦者決定リーグ戦白組3回戦で稲葉陽八段(31)を破り、初のタイトル挑戦権獲得に向け、リーグ3連勝を飾った。3勝0敗で白組の暫定首位に立った。またこの日の勝利で19年度の勝率8割以上を確定させ、3年連続年度勝率8割以上が決まった。3年連続は史上初の快挙となった。

名人戦順位戦の最上位A級に在籍する稲葉を相手に逆転勝ちした。「中盤で長考した場面があった。読み筋が当たらず、時間と形勢で苦しくなってしまった」と振り返った。

それでも初のタイトル挑戦に近づくとともに、将棋界の「新記録」を達成した藤井は「意識はしていませんでした。一局一局に全力を尽くした結果だと思います」と謙虚に話した。

レジェンドたちを超えた。19年度は、24日までに64局対局し、52勝12敗(未放映のテレビ対局を含む)で勝率8割1分2厘。年度内の対局は31日、棋聖戦決勝トーナメントの菅井八段戦の1局のみ。仮に31日に負けたとしても、19年度の勝率は8割を下回らない。

藤井は実質的なデビュー年度となった17年度は61勝12敗、勝率8割3分5厘、続く18年度は45勝8敗、勝率8割4分9厘。いずれも記録部門の年間勝率1位賞を獲得。19年度も勝率では2位以下を大きく引き離しており、年間勝率1位賞をほぼ手中にしている。

過去、藤井以外で「2年連続で年度勝率8割以上」を達成したのは、87年、88年度の羽生善治九段(49)、66年、67年度の中原誠16世名人(72=引退)の2人だけ。レジェンドたちを超え、「3年連続年度勝率8割以上」の偉業を成し遂げた。

プロ棋士は通算勝率が6割で一流。6割5分で超一流と言われる。トップ棋士でも10回対局すれば、4回近く負ける計算だが、藤井の場合、10回対局しても、負けるのはわずか2回ほど。数字でも最強に近づきつつある17歳の進化が止まらない。