東京都内で新型コロナウイルスの感染を疑われる人が検査を拒んだ場合、5万円以下の過料を科す都条例の改正案を30日開会の都議会に最大会派「都民ファーストの会」が提出する。感染者を見逃さずに隔離する狙いの一方で「罰則があると逆に感染者を見つけにくくなる」との批判もある。 「『コロナはただの風邪なので必要がない』『元気なので心配していない』などの理由で検査に応じないケースの報告がある」。24日、同会派所属の伊藤悠都議は改正案発表の会見で、条例の実効性を高める目的を強調した。改正案は感染症法に基づき知事が検査を受けるよう勧告しても2日以内に応じなかった場合、検査を命令できると規定し、正当な理由のない拒否に過料を科す内容。協力要請に従わず、ガイドラインも守っていない事業者名を公表する規定も盛り込んだ。

ただ検査拒否に関する罰則は新型コロナ特別措置法にも規定がなく、反発は根強い。共産党の和泉尚美都議は取材に「検査を受けられない人は何らかの事情がある。非正規労働者なら辞めろと言われるかもしれない。どうやって安心して検査を受けてもらうかに心を砕くべき」と指摘。新宿区の歌舞伎町で「夜の繁華街」の事業者と共同で対策を進めてきた吉住健一区長も、反対を明言している。

都議会定数127のうち都民ファは50人で、成立には他会派の賛同が不可欠。改正案の構想段階では罰則の範囲がより広く、他会派の意見も踏まえて絞り込んだ。都民ファと関係の深い小池知事は改正案の是非に言及せず、静観の構えだ。