新型コロナウイルスの変異種デルタ株が世界的なまん延を見せる中、英政府の緊急時科学助言グループ(SAGE)が、感染者の3人に1人が死亡する可能性のある新たな変異株の出現を警告している。新型コロナワクチンが効かない変異株がほぼ確実に出現すると予想する英学会の研究論文がSAGEの公式サイトに掲載され、今後も高い確率で変異種が出現し、最終的に現在のワクチンが効かないものが出てくると指摘している。論文では、過去に流行した重症急性呼吸器症候群(サーズ)の10%や中東呼吸器症候群(マーズ)の35%に匹敵する致死率を持つ変異株が発生する可能性に言及している。

米疾病対策センター(CDC)は先月末、デルタ株はワクチン接種済みの人も感染し、他人に移すリスクがあることを警告している。水痘(水ぼうそう)と同程度の感染力を持ち、1人の患者から8~9人に感染させる可能性があると指摘する内部資料も明るみになり、衝撃を与えたばかり。そのデルタ株を超える感染力を持つ変異種が出現するのはほぼ確実で、ワクチンの効果と感染力との攻防戦が今後も続くことになりそうだ。(ロサンゼルス=千歳香奈子)