将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太王位・棋聖(19)が16日、大阪市の関西将棋会館で指された第71期王将戦の2次予選決勝で、稲葉陽八段(33)を破り、前期陥落した挑戦者決定リーグへ即復帰した。藤井は同リーグには3期連続の参戦となり、年度内6冠の可能性が広がった。

戦型は両者得意の角換わり。藤井が7筋から仕掛け、終盤は一進一退の攻防を繰り広げた。最終盤にわずかにリードを広げ、鮮やかに寄せ切った。終局後、藤井は「時間を使ったんですが、そこで決めることができなかった」と振り返った。過去10年で、陥落後、即復帰を決めたのは豊島将之竜王ら6人だけ。6人全員がタイトル獲得経験者だ。即復帰はトップの実力がなければ難しい。同リーグには3期連続の参戦となるが、「前期は陥落したが、今期は上を目指していけるようにと思います」と意気込んだ。

年度内6冠の可能性を広げる白星だった。藤井は豊島将之竜王(叡王=31)と王位戦7番勝負、叡王戦5番勝負と2つのタイトルで対戦中。王位戦では2勝1敗とリード、叡王戦では2勝1敗とタイトル奪取まであと1勝に迫っている。22日の叡王戦第4局に勝てば最年少3冠を達成する。

竜王戦の挑戦者決定3番勝負では永瀬拓矢王座(28)に先勝した。竜王も奪取すれば、年内4冠。さらに王将戦挑戦者決定リーグで優勝し、例年年明けに開幕する王将戦7番勝負で渡辺明王将(37)からタイトル奪取すれば5冠。例年2月に行われる棋王戦5番勝負でも奪取すれば年度内6冠の可能性もある。19歳の勢いは止まらない。【松浦隆司】