将棋の史上最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が渡辺明王将(名人・棋王=37)に挑戦する、第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第2局が22日、大阪府高槻市の温泉旅館「山水館」で始まり、午後6時、後手の藤井が58手目を封じて1日目を終えた。持ち時間各8時間のうち消費時間は藤井が4時間26分、渡辺が3時間18分。形勢は藤井が、優位との見方もある。

今シリーズは将棋界にある8つのタイトルのうち、7つを占める「4冠×3冠」の頂上決戦。藤井が初の王将奪取、史上最年少5冠に向け、連勝するか。4連覇を狙う渡辺が巻き返し、タイに追いつくか。注目の大一番の戦型は角換わり。序盤は、お互いが研究手を繰り出した。49手目、渡辺は昼食休憩を挟み、2時間8分の大長考。藤井は中盤に差しかかる52手目にプロ入り後、最長となる2時間28分の大長考をした。

午後6時、立会人の谷川浩司九段が、藤井の封じ手が決まったことを告げた。二択のどちらを選ぶかを迫られる重要局面。しかし藤井は定刻を過ぎても前傾姿勢を崩さない。次の一手を封じる意思を示さなければ、消費時間として計測されるが、身体を前後にリズミカルに動かし、考え続けた。「納得するまでトコトン考え抜く」。大舞台でも、藤井スタイルは変わらない。

午後6時22分、40分の長考の末、封じ手を宣言し、58手目を封じた。驚きの一手があるのか…。相手を疑心暗鬼にさせる「長考」でもあった。

2日目は23日午前9時に再開する。午前中から激しい攻め合いになることも考えられる。

今シリーズで藤井が王将を奪取すれば、自身最多の5タイトルを同時に保持。羽生善治九段(51)の22歳10カ月の史上最年少5冠の記録を大幅に更新し、史上初の「10代5冠」が誕生する。【松浦隆司】