輸入牛肉の価格高騰を受けて、庶民の味方でもある牛丼チェーン大手4社が昨年、牛丼・牛めしを値上げした。並盛1杯300円を割る時代もあっただけに、お財布にも厳しい状況となっている。その牛丼店が昨年末から次々に鶏肉の新規&復活メニューの販売を始めた。どうやらチキンは好調のようだ。なぜ、牛丼店は今、鶏肉料理に走っているのか?

 ◇  ◇  ◇

牛丼チェーン店がなぜ鶏肉メニューを強化したのか? 経済ジャーナリストの荻原博子さんは「3つの理由がある」と断言した。

(1)原材料が安い スーパーの精肉コーナーの価格表示を見ていただければ分かりやすい。100グラムで牛肉は200円台ですが、鶏肉は100円未満の場合もある。原材料を仕入れるコスト負担の少ない鶏肉でメニューを開発するのは不思議ではない。

(2)ヘルシー志向 ダイエットに鶏肉のササミがもてはやされたり、コンビニの人気商品でもサラダチキンがあがっている。牛肉や豚肉だって調理方法でヘルシー食材になるとは思いますが、現状では肉を食べるなら「チキンがいい」というイメージが確立されていることが大きな要因となっていそうです。

(3)女性の胃袋をつかめる 牛丼に比べるとチキンの方がオシャレに感じるのかもしれません。牛丼はほぼ茶色。鶏肉の料理は彩りもにぎやか。女性にとって商品の見た目は重要と思われます。それとCMでもすき家は石原さとみ、吉野家は藤田ニコルと女性に支持されている芸能人を起用している。

牛丼チェーン4社がこの時期に鶏肉メニューを取り上げていることについては「なか卯は元々親子丼が強力な商品ですが、他3社はそれでも軸になるのは牛丼だと思います。同時期に鶏肉メニューを出したのは面白い現象ですね」と評した。