奈良市内で参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相(67)が銃撃され、死亡した事件で、奈良県警は10日午前、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した元海上自衛官の無職山上徹也容疑者(41)を殺人容疑に切り替え、奈良地検に送検した。

   ◇   ◇   ◇

山上容疑者は奈良市内で育った。中学の同級生は「頭が良かった」と話し、高校の同級生らは「人見知りの一面も」と評した。

中学時代はバスケットボール部に所属。小柄だったが運動神経がよかったという。あだ名は「徹也」からとった「こてつ」。中学校の卒業アルバムの写真には氏名の下には「こてつ」。このニックネームを本人も気に入っていたようだという。同級生は「成績がバツグンだった」と話した。

高校は奈良県内有数の進学校である県立高校に進学した。同級生の女性(41)によると、応援団に所属していた。「おとなしくまじめ。ちょっと人見知りの一面もあった」と振り返った。卒業アルバムの自身の将来を記載する欄には「わからん。」としていた。

03~05年、海上自衛隊に所属。山上容疑者は、20年10月から派遣社員として京都府内の工場でフォークリフトで倉庫の荷物を運ぶ仕事をしていた。工場の責任者によると、フォークリフトの免許を持っており、派遣会社へ支払っていた時給は1800円。遅刻や欠勤もなく、まじめな仕事ぶりだったが、半年が過ぎたあたりから仕事の手順を巡り、同僚らとトラブルが発生。今年3月には年上のベテランと激しい口論になり、同月末ごろから週に1~2回欠勤するように。「心臓の調子が悪い」などと訴え、5月15日付で退職した。責任者は「仕事の会話はあったが、趣味や経歴などプライベートはいっさい話さなかった」と振り返った。【松浦隆司】