JR宇都宮線内で喫煙を注意した高校生を暴行し、傷害、強要などの罪に問われた元ホストクラブ従業員宮本一馬被告(28)の判決公判が19日、宇都宮地裁栃木支部で開かれ、片山憲一裁判長は懲役2年(求刑懲役3年)の実刑判決を言い渡した。

宮本被告は今年1月23日、電車の優先席で寝転んで喫煙。男子高校生が注意すると、「くそがき、おまえ、俺にしゃべりかけられる分際とちゃうんや」「ぶっ殺すぞ、こら。けんか売ってるんじゃねえぞ」と因縁をつけ、土下座させた。高校生の頭を踏み付けた上、蹴る殴るの暴行を加え、頬骨(きょうこつ)骨折など全治6カ月の重傷を負わせた。

また、送検後、検察官の取り調べに対して「あんまり人をばかにしたしゃべり方すんなよ」「カメラ関係あるか。俺、暴れるときまじで暴れるぞ」「女には手上げへんけど、男には手上げるからな」と脅迫し、公務執行妨害でも起訴された。

弁護側は「大々的に報道され、社会罰も受けている」と執行猶予を求めたが、片山裁判長は「感情に任せた犯行で、一方的で執拗(しつよう)。動機、経緯に酌量の余地はない」と量刑理由を説明した。

100万円を準備し、被害弁償の意向を持っていることや、交際相手が更生に協力する意向があることなど、「酌むべき事情を考慮しても、執行猶予は相当ではない」と実刑を選択した。

黒のTシャツにジーンズ。右耳の下にタトゥーを入れた宮本被告は神妙に聞き入っていた。