将棋の小山怜央アマ(29)がプロ棋士を目指す、棋士編入試験5番勝負第2局が12日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われ、岡部怜央四段(23)を下した。午前10時から始まった対局は、角換わり腰掛け銀から後手岡部の攻めをしのいで反撃した小山が午後4時39分、111手で快勝した。第1局(11月28日、大阪市「関西将棋会館」)では徳田拳士四段(25)を下しており、これで2連勝。試験合格の条件となる3勝まで、あと1勝とした。来年1月以降に行われる3局のうち、1勝すれば合格できる。第3局の相手は狩山幹生四段(21)。

「最後は読み切りやすく、勝ちやすい展開でした」と振り返った。今回の5局の中で、岡部は唯一対局経験がある相手。今年7月の朝日杯オープン戦1次予選で当たり、勝っている。それを念頭に置いて準備してきたという。

その朝日杯では今月9日に行われた2次予選1回戦で、3年前のこの棋戦の優勝者である千田翔太七段(28)を下した。本戦(ベスト16)入りのかかった同決勝では今年の竜王戦挑戦者の広瀬章人八段(35)に敗れ、アマ初の本戦進出はならなかったが、旋風を巻き起こした。夢と人生をかけた対局で再度勝ち、合格にグッと近づいた。

現行の編入試験では2014年(平26)12月に今泉健司現五段(49)、20年2月に折田祥吾現五段(33)がそれぞれ合格している。今年8~10月、女流棋士として初めて里見香奈女流5冠(30)が挑戦したが、3連敗で不合格に終わっている。

「気を引き締めて準備して、次も力を出し切りたい」。小山アマはしっかり次を見据えていた。