本格的なスキーシーズンを迎える中、全国各地のスキー場では、最新のスマートフォンやスマートウオッチなどによる持ち主の意思と反した「誤通報」が相次いでいる。
米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などの最新モデルには、自動車との衝突事故を検出し、一定時間操作がない場合に、自動で119番につながる機能が付いている。事故にあった当事者が意識不明の状態でも緊急通報ができる便利な機能だが、ゲレンデ上で転倒した際にも、気が付かないまま消防に通報してしまうケースが多発している。
スキー場の多い長野県で、白馬村などを管轄している北アルプス広域消防本部(大町市)では、22年12月16日から自動通報の件数を計測。ゲレンデ内からの自動通報は、23年1月19日正午時点の約1カ月で116件あった。しかし、その全てが救助を必要としない誤通報だった。ほかにも、群馬県のたかさき消防共同指令センターには1月1日~18日までで60件、新潟県の魚沼市消防本部には昨年12月24日~今年1月18日までに6件、スキー場から誤通報があった。
北アルプス広域消防本部の通信指令室、郷津純治室長(60)によると、自動通報を受けて通報者の対応がなかった場合、安否確認のために追跡調査を行う。郷津室長は「数時間ほど、数分置きに電話をかけても結局出ていただけない方が多い。それでも『間違った通報だった』と簡単に判断することはできない。件数が増えてきているので事務仕事が多忙になっています」と話した。新型コロナ禍の影響も重なり、業務の逼迫(ひっぱく)が続いている。自動通報については「デバイスに備わった非常に良い機能です」としながらも「指令員の呼びかけには『けがをしていない』『間違いだった』などと伝えていただければ非常に助かります」と呼びかけた。【沢田直人】
○…総務省消防庁にスマートフォンなどからの自動通報について聞いた。担当者は「自動通報の機能で必要な救急が行われたという事例がある」と述べ、機能をオフにすることは推奨していない。誤った通報については「アップルジャパンと協議を続けていく。自動車事故の検出精度を上げることや、利用者に機能の周知を促すよう相談した」と語った。スキー場以外では、ポケットからスマートフォンが落下したときや、水上バイクの運転中、自動車教習所内で急ブレーキがかかったときに誤通報があったという。

