夏の新たな楽しみ方として広がった「ナイトプール」。新型コロナウイルスの5類感染症移行後、初めて迎えた今夏は、各施設でさまざまな趣向を凝らした楽しみ方が提案されている。近年は「SNS映え」の象徴として写真撮影スポットとしても人気だが、例年以上の酷暑となっている今夏は、プールそのものを楽しむ人も多い。「ミッドナイトプール」という新形態も登場し、進化を続けるナイトプールの楽しみ方を探ってみた。【中山知子】
◇ ◇ ◇
最高気温35度以上の猛暑日が例年以上に続き、日々危険な暑さとなっている今年の東京。夕方以降も気温は高いが、日中よりは幾分過ごしやすい。そんなタイミングで「ナイトプール」は幕を開ける。ナイトプールは98年、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)が始めた企画。日が落ちた後なら日焼けの不安も解消されるため、女性を中心に人気が拡大。今や夏の風物詩だ。
都心の人気スポットの1つが、16年に始まった「CanCamナイトプール」。人気ファッション誌「CanCam」と東京プリンスホテル(東京都港区)がコラボレーションし、毎年テーマに沿った演出を展開してきた。インスタグラムが普及した後は、「映え」スポットとして人気が爆発。17年末のユーキャン新語・流行語大賞で年間大賞の1つに選ばれた「インスタ映え」の火付け役とされたのが、CanCamナイトプールだった。
今年のテーマは「Pink Ice Cream Power」。アイスクリームをモチーフにした飾りやネオンが設置され、Z世代に人気のアイス店「プレンティーズ」も特別出店。大量のカラーボールが浮かぶ「こどもプール」、プールの背後にあるライトアップされた東京タワーなど、多彩なフォトスポットが特徴。「冷たくてフォトジェニックなナイトプール」(「CanCam」安井亜由子編集長)で、映えスポットとしての人気は根強い。
「CanCam it girl」の斉藤里奈(22)は「汗もかかず、涼しいし、メークも落ちない。ここは東京タワーと写真を撮ることができるのがいい」。雨宮凜々子(19)は「コロナ禍が明けて久しぶりに夏を全力で楽しめる。インスタ映え(の完成度)も100%」と話した。
雨宮のコメントどおり、今夏は、新型コロナが季節性インフルエンザと同じ5類感染症に移行し、社会生活が通常モードに戻って初めて迎える夏。コロナ禍の20、21年は休止を余儀なくされ昨年復活した「CanCam-」は今年、人数制限をなくした。過去最長の66日間開催に踏み切り、アルコールカクテルの提供も開始。昨年より「出足もいい」(「CanCam.jp」の加藤真実編集長)という。
今年ならではの変化もみられるという。「これまでは、泳ぐより写真を撮って帰るお客さまも多かったが、今年は実際に泳いでいる方が多い。暑さが影響している気もします。キッチンカーのドリンクに並ぶ方も多い」とし「気候と関係しながらナイトプールでの過ごし方も変わっているのではないでしょうか」(加藤さん)。取材当日も午後7時過ぎても気温は30度近く、プールそのものを楽しむ客の姿が目立った。以前は女性中心だった客層も男性やカップルが増えているという。
客層も楽しみ方も多様化するナイトプール。加藤さんは「今後は写真映えだけではない楽しみ方を提供していけたら」とも話した。
◆CanCamナイトプール 9月18日まで。午後6時~同9時。チケット料金は9月3日まで6600円、同4日から5500円(いずれも税込み)。18歳以上。ナイトプールチケット付き宿泊プラン(1室2人利用)は1人1万1700円から。
■ニューオータニは新形態「ミッドナイトプール」で非日常の雰囲気を
98年に「日焼けをしない」ナイトプールを始めた「元祖」のホテルニューオータニでは、その進化形ともいえる「ミッドナイトプール」を展開している。
ミッドナイトプールを最初に始めたのは20年。きっかけはコロナ禍だった。ニュー・オータニ マネージメントサービス課の担当者によると、同ホテルではコロナ禍に入った後も、完全事前予約による入れ替え制、徹底した感染防止対策を取りながらナイトプールの営業を行った。ただ、入場できる人数が限られ、予約が取れないケースも多かったようだ。そこで、開業記念企画の一環として、一夜限りの「ミッドナイトプール」を実施。ナイトプール営業時間後の午後9時半~同11時半に、18歳以上に限定した大人の空間を提供し、人気を博した。
昨年はお盆期間中の3日間に実施。今年は先月28日以降、今月25日までの毎週金曜日、計5回に増加。毎回異なる5人のDJによるDJイベントも行われ、昼間のプールやナイトプールとは違う、非日常の雰囲気を堪能できる。
ホテル側によると、同ホテルの以前のナイトプールの主な利用者は仕事帰りの男性や女性たちだったというが、コロナ禍以降は、遠出できないファミリー層が増えたという。女性を意識したプールからスタートして大人の遊び場となり、ここ10年はSNSの「映え」で盛り上がってきた場が、「この数年は、お子さまたちがナイトプールを楽しむ新しい光景が見られるようになりました」。大人から子供まで楽しめる場になり、宿泊とプール入場券がセットになったプランの人気が高いという。
今年はインバウンドの回復もあり、外国人の需要も見据える。ホテル側は「外国のお客さまにも、日本での観光の1つとしてナイトプールを楽しんでいただきたい」と話す。今年から水中の照明をすべてLEDに変更。水中とプールの外の照明が連動し、幻想的な演出を展開する。プールサイドダイニング「アウトリガー」のフードメニューには、本場韓国と同様にどんぐり粉を練り込んだ麺を使った「アウトリガー冷麺」(3400円)や、「プルドポークバーガー」(3800円)を加え、プールサイドでの楽しみ方にも力を入れる。
◆ホテルニューオータニ東京のナイトプール 9月2日まで。午後6時~同9時(8月13日以外の日曜は休業)。事前の予約が必要。料金は大人1万3000円、子ども(4~12歳)8000円。「ミッドナイトプール」は8月25日までの毎週金曜日、午後9時半~午前0時。18歳以上、料金は1万円。

