将棋の最年少7冠、藤井聡太7冠(21=竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖)が史上初の全8冠制覇に挑む、永瀬拓矢王座(30)との王座戦5番勝負は31日、神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で開幕する。

囲碁界の7大タイトル独占を2度成し遂げた井山裕太2冠(34=王座、碁聖)が29日、「第31回関西囲碁将棋記者クラブ賞」の表彰式に出席し、自らの足跡を振り返りながら藤井の全8冠制覇について語った。

将棋界の枠を超えて注目される大一番。同じく同クラブ賞を受賞した藤井へ、囲碁界のレジェンドが熱く語った。

「1度目の7冠制覇は、獲得できたとは言え、1つ1つの勝負はギリギリの中で、運に恵まれた部分も多かった。もちろん、まだ分からないが、藤井さんは当然のように、サラッとやってしまいそうな雰囲気がある」

井山は17年、史上初の7冠独占。18年には失冠した名人のタイトルを約1年ぶりに奪回し、7冠に復帰した。保持するタイトルを防衛し続け、新たなタイトルを獲得する難しさは経験した者でないと分からない。

藤井は、20年の棋聖戦で初タイトルを獲得して以降、タイトル戦に17度目登場し、1度も失敗せず全てを制した。井山は「タイトル戦で敗退を経験していないのは、信じられない。自分が『大変だ』と思っていたことも、藤井さんは、もしかしたら違うのかな」と異次元の強さに感心した。

8大タイトルのうち7つを保持する藤井は、残る王座を奪取すれば、全8冠独占を達成する。「人類(の知能)がどこまでいけるのか。藤井さんがこれから証明していくのかなと思う」。盤上の真理を探究する若き天才の歩みは、人跡未踏の境地への挑戦でもある-。将棋の羽生善治九段とともに国民栄誉賞を受賞した第一人者は、そう強調した。【松浦隆司】

○…3年連続15度目の関西囲碁将棋記者クラブ賞を受賞した井山は「取り組んできたことが評価され、ありがたい。関西の棋士にとって名誉で、これだけの回数を選んでもらい感謝にたえない」と述べた。22年度、歴代最長の本因坊11連覇を達成し、碁聖、王座を防衛するなどの活躍が評価された。現在、名人戦7番勝負に挑戦中で、世界戦にも出場している。