藤井聡太8冠(21)がタイトル戦20連勝の金字塔を打ち立てた。

将棋の第73期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局が8日、東京都立川市「オーベルジュ ときと」で行われ、藤井王将がストレートの4連勝で菅井竜也八段(31)の挑戦を退けた。7日午前9時からの2日制で始まった対局は、先手藤井が防衛し、王将戦3連覇を達成。タイトル戦での連勝を初挑戦から無傷の「20」に伸ばして、故大山康晴15世名人が1963年の第22期名人戦から66年の第25期名人戦まで達成した19連勝の大記録を塗り替えた。タイトル獲得通算20期も単独6位となった。

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大記録に花を添えるストレート勝ちだった。藤井が中盤、抜け出す。小学生時代、45分の授業を5分で理解してしまったという「9倍速解析脳」がフル回転。6日の前夜祭で「1手1手、しっかり読みを入れて、作り上げていくような将棋を」と決意を述べたように、じっくりと考える。「記録は特に意識はしていません」と、平常心で盤に集中して終局の構図を描き、菅井を押し切った。

これでタイトル戦は最初に登場した2020年の棋聖戦以来、20連勝。63年の第22期名人戦から66年の第25期名人戦まで19連勝を果たした大山を超えた。しかも、タイトル初挑戦から負けなしのおまけ付き。通算20期獲得は、故米長邦雄永世棋聖を抜いて単独6位となった。「特に意識していません」と常々、口にしているが、

初めてのタイトル戦開幕局では和服の準備が間に合わず、スーツ姿で臨んだ。棋聖戦第2局で初めてタイトル戦での和服姿を披露して以来、今や第一人者としての風格すら漂わせる。

名の部分だけでなく、「実」の部分でも文字どおりトップになった。日本将棋連盟が5日に発表した、昨年の獲得賞金と対局料の合計は1億8634万円。95年の羽生善治九段の1億6597万円を上回り、史上最高額を更新した。

本年度、史上初の8冠を制覇した藤井は、昨年6月に将棋界の頂点とも言うべき名人を20歳10カ月の史上最年少で獲得した。谷川浩司17世名人が83年に記録した21歳2カ月の記録を40年ぶりに更新。昭和、平成のレジェンド棋士たちが達成した数々の偉業を塗り替えている。

残るは、年間最高勝率。67年度に中原誠16世名人が達成した8割5分5厘(47勝8敗)が将棋界の記録だが、藤井はこの日の勝利で8割7分2厘(41勝6敗)とした。今後の対局として、準決勝まで勝ち上がった朝日杯に、NHK杯トーナメント、5番勝負第1局で持将棋(引き分け)となった棋王戦が残っている。

まずは10日に予定されている朝日杯準決勝(糸谷哲郎八段戦)をクリアするのが条件になる。4日の棋王戦5番勝負第1局から始まり、王将戦第4局、朝日杯と強行軍になるが、「むしろ、対局間隔が詰まっている方がいい」と話す。朝日杯で優勝すれば、羽生が記録した最多優勝の5回に並ぶ。ここでもまた、レジェンド棋士の記録に追いつく。

◆藤井聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下。12年にプロ棋士養成機関「奨励会」入会。16年10月、史上最年少の14歳2カ月でプロ入り。18年2月の朝日杯で、中学生として初の公式戦優勝。20年棋聖戦で17歳11カ月の史上最年少で初タイトル。23年6月、20歳10カ月の史上最年少で名人に。通算タイトル獲得は歴代6位の20期(竜王3、名人1、王位4、叡王3、王座1、棋王1、王将3、棋聖4)。

【動画】タイトル戦20連勝決定の瞬間、藤井聡太8冠は…