将棋の第18回朝日杯オープン戦の本戦トーナメント(T)準々決勝、藤井聡太7冠(竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=22)対服部慎一郎六段(25)戦が19日、名古屋市「ポートメッセ名古屋」で行われ、先手の服部が藤井を下し、初のベスト4に進出した。

服部が白星量産の勢いをそのままぶつけた。対局前まで服部は、本年度の対戦成績は32勝4敗、勝率は8割8分9厘。本戦T1回戦では丸山忠久九段(54)を破り、藤井戦に臨んだ。

先手の服部が矢倉に誘導し、序盤からペースを握った。居飛車党で、棋風は攻めよりも受けを好む。名前から「忍者」の異名があり、棋士仲間からは親しみを込めて「ハットリ君」と呼ばれている。

忍者のように、ひたひたと藤井玉に迫っていった。持ち時間40分を先に藤井に使わせた時点では、服部は30分の持ち時間があった。「リスクのある手ではあるが、早指しなのでやってみようと思っていた」と作戦がズバリとはまった会心譜だった。初のベスト4進出に「正直、あまり勝てるイメージはなかったので、自分でも驚いている」と話した。

富山県出身の25歳。冨田誠也五段と「もぐら兄弟」のコンビ名で、漫才日本一を決める24年の「M-1グランプリ」1回戦に、将棋界から初参戦したこともある。今年がデビュー5年目の「ハットリ君」が絶対王者から大金星をもぎとった。

これで本年度の成績を33勝4敗、勝率8割9分2厘まで上げた。勝率ランキングは全棋士中1位だ。中原誠16世名人(77=引退)が67年度に記録した47勝8敗、8割5分4厘の年度最高勝率の大記録を58年ぶりに更新する可能性も現実味を帯びてきた。

大記録達成に「まだ2カ月ある。目の前の一局一局に集中していきたい」と前を見据えた。【松浦隆司】