政界きっての鉄道好き(乗り鉄&飲み鉄)で知られる石破茂首相が10日の参院予算委員会で、「鉄道改革」に関する立憲民主党の議員との質疑で、詳細な知識や記憶をまじえながら持論をとうとうと語る場面があった。
「地方創生と公共交通機関が果たす役割について」をテーマに石破首相と質疑を行ったのは、地域のバス会社への勤務経験もある森屋隆議員。森屋氏は、自民党が1986年5月22日付で新聞に出稿した、国鉄の分割民営化に関する広告をフリップにして「国鉄が…あなたの鉄道になります」というタイトルや、「(民営化で)運賃も高くなりません」「ブルートレインなど長距離列車もなくなりません」「ローカル線もなくなりません」などと記されているとして「結果として鉄道の廃止距離は2000年から2024年4月1日まで、48線区、1289・4キロがなくなった」と指摘。この新聞広告で国民に約束したメッセージに関する見解を、石破首相にただした。
石破首相は「この広告、私、よく覚えています。議員になる2カ月くらい前でした」と振り返り「確かにあのころはとにかく収支がよくない、値上げをする、ますます乗らなくなる、だからまた値上げみたいな、一種の悪循環が続いていたのは間違いない事実。しょっちゅうストも起きていた」とも回顧。「『国鉄』といっていた当時はあまり、『ありがとうございます』と言われたことがない。乗せてやる、みたいな感じだった」と私見を示し「運賃は上がる、しょっちゅうストはある、サービスはよくないみたいな世論が。もちろん一部に、すごく親切な路線もあったでしょうが、当時を知るものとして、世の中はそんな感じだったと思う」と述べた。
その上で、「分割民営化でローカル線や、ブルートレインはなくならないという話だったはずなのだが、ブルートレインはほとんどが…。今、ブルーの夜行特急は、ひとつもないです。『サンライズ出雲』が残っているだけ」「私は、ブルートレインというか、地元を走っていた『(寝台)特急出雲』には、間違いなく1000回乗りましたから」と、思い出を次々吐露。「それがなくなったのは、分割民営化の影響なのか、そのほかの交通機関の発達かは、分析をしないといけない。分割民営化すべてが、と申し上げるつもりはないが、良くなった点も多々あるのですが、この先どうするかということは、モーダルシフトという観点から、議論していかないといけない。鉄道もバスも飛行機も船も必要ということがこの先、人口が減っていく中において、どのように解を見いだしていくかは、ご教示を賜りながら考えたい」と述べた。
森屋氏はこれに対し「ストライキは悪ではないし、『ありがとう』も、一部言わない人もいたのかもしれないが、ほぼ鉄道マンは言っている。そこは訂正をお願いしたい」と反論したが、石破首相は「争議権、団結権が憲法で保障されていることは百も承知だが、あのころは『スト権スト』というものがあった。あのときに国民の多くのご理解が得られなかったのは、本来の趣旨とは違うのではないかということがあったのだろうと思う」と持論を曲げなかった。
「多くの国鉄の方が、誇りを胸に一生懸命働いておられるのはもちろんよく承知をしているが、ストというものが国民の広いご理解を得られなかったという時代背景は、よくよく覚えている。いま、まったくとは言わないが、ストはございません。それはそれで非常にいいこととは考えているが、それがどういうふうに労働者の賃金を引き上げるかにおいて、いかなる意味を持つものかについてはまた、議論させてください」「ありがとうございましたと言われたことがあまりない、というのは、実際にそういうことが国民世論の背景にはあったと思っている」とも主張した。
石破首相の答弁は、各地で削減が続く「みどりの窓口」にも拡大。「JRになってサービス向上がはかられてきたが、今、地方の駅に行くと『みどりの窓口』はほとんどなくなっちゃった。(地元の)鳥取でも、倉吉駅では、なくなっちゃった。電話してくださいというところに電話しても、なかなか出ていただけないみたいなことも起きている」と苦言も。その上で「どこをどうやってサービスの向上をはかるか、ということは私どもも議論し、必要なことについて、できるお手伝いはしてまいりたい」と、語った。

