24日に東京・日本記者クラブで行われた自民党総裁選(10月4日投開票)の候補者討論会で、22日の告示日の立会演説会で異彩を放った高市早苗・前経済安保担当相(64)の発言に、真意をたずねる指摘が、記者から相次いだ。
高市氏は立会演説会で「私は奈良の女です」と切り出し、鹿の姿を描いた奈良時代の歌人、大伴家持の和歌を詠み上げた。その後、奈良が誇る鹿に一部の外国人観光客が危害を与えているような動画が拡散されていたことを念頭に「奈良の鹿を足で蹴り上げるとんでもない人がいる。外国から観光に来て、日本人が大切にしているものを痛めつけようとする人がいるとすれば、何かが行き過ぎている」と指摘した。
この日の討論会の質疑応答で、読売新聞特別編集委員を務める橋本五郎氏が「この前の演説会で『奈良の女』の発言、大伴家持はびっくりしましたね。あれは周到な準備をされて臨んだんですか」と問いかけ、高市氏は「準備をする時間がございませんでしたが、私の心からわき出る思いです。政策に関しては(出馬)会見でしゃべり散らかしたので、政策はおなかいっぱいといわれる方がおられた」とした上で「深掘りできなかったところも入れながら、私の思い、心の声を話した」と訴えた。
橋本氏は続けて「鹿が出てきて、外国人が蹴り上げていると。動画は流されているようだが、根拠はどこにあったんですか」として、外国人が鹿を蹴り上げた事実関係の根拠を示すよう求めた。
これに対し、高市氏は「自分なりに確認した。奈良公園の鹿も被害を受けている」と主張。「そういうものが流布されていることによる不安感、そして怒りがある。これは確かなことだと思っております」とした上で「静かに、ふつふつと多くの日本人の中に芽生えている不安や怒りをどう改善していくか、そこにも取り組みたいという思いを申し上げた」と述べた。
高市氏に対しては別の記者からも苦言交じりの質問が寄せられた。「心境は良く分かる。国民のみなさんも不安に感じ取られている部分もあると思うが、一方で外国人の方々はルールを守り、経済にも貢献しているのも事実。そもそもインバウンドや特定技能制度を導入したのは、高市さんも深くかかわられた安倍政権の時だった」とした上で「外国人を受け入れないと日本は生き残れないというのが、基本に、安倍政権にはあった。これがどこが正しくて、そこが修正すべきかということがあるのなら、あえて申し上げますけれど、不安をあおる前に冷静に国民に説明することが求められるのではないか」という内容だった。

