中道改革連合の泉健太衆院議員は5日の衆院予算委員会で、政府のグローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想をめぐり、少女らの性的人身売買罪で起訴され、その後自殺した米富豪エプスタイン氏との関係が報じられた運営委員の伊藤穣一・千葉工業大学長に対する聞き取りを行う意向があるか、政府側にただした。

小野田紀美・科学技術政策担当相が3日の閣議後会見で、伊藤氏からの聞き取りに言及したことを踏まえたものだったが、この日、答弁に立った鈴木隼人内閣府副大臣は「政府として予定はしていない」と対応を一変。泉氏は「極めて、よくない日本的な対応だ」として、伊藤氏から聞き取りを行うよう強く求めた。

伊藤氏はGSC構想の運営委員を務めているが、こうした有識者会議のメンバーを3月末で退任する意向を、3日に自身の公式ホームページで表明している。泉氏は、GSC構想に関する質問の中で伊藤氏に言及。「すでに名前も出ているので大変恐縮ですが、デジタル社会構想会議の構成員で、ステアリングコミッティーのメンバーである伊藤穣一氏が、エプスタイン文書の中に頻出してくるということで、さまざまな報道がなされている」とした上で、「(伊藤氏は)この3月末で双方の役職も退任するということだし、小野田(紀美)大臣がエプスタイン文書について調査し、伊藤氏から聞き取りを行う、と記者会見で申された」として、小野田氏の発言の事実関係を確認した。

ただこの日は小野田氏は出席しておらず、答弁に立ったのは副大臣の鈴木氏。鈴木氏は「小野田大臣からそういった発言がございましたが、大臣のご発言自体、(伊藤氏の3日の)声明の公表以前になされたもの。その後、ご自身から退任の意向を示されており、それ以上政府として何らかのことをするという予定をしておりません」と述べた。

これに対し、泉氏は「調査も聞き取りもしないということですか? まさか、そうは思っていないと思うんですが」と、驚きの反応を示した。その上で「このエプスタイン文書は、さまざま資金調達のあり方についても記されている。MIT(在籍)当時の。かなり特殊な資金調達、関係性の構築というものの経過が一部、明らかになっている」と指摘。「その人物が、この構想に関わってきたということなら、あらためて、これまでの関係協力を示している各機関との関係のあり方、どういう経緯でそういう約束に至ったのかということまで含めて、1度、スクリーニングする必要があるんじゃないでしょうか。これまでどういうアドバイスを受け、どういうことを反映させてきたのか、どのプロジェクトにどのように関与してきたのか、確認すべきではないか」として見解を求めた。

鈴木氏はすぐに答えられず、手元の紙を見るなどしたため、泉氏は「自分の頭で考えて」と促したが、鈴木氏は「伊藤穣一氏におかれましてはグローバル・スタートアップ・キャンパスの運営に重要な助言をいただいてきたと考えておりますが、今回のエプスタイン氏との交流関係の疑念については、先日出された声明において事実関係を整理して説明されていると承知している。政府として何らかの評価をする立場にはないと考えている」と、述べるにとどめた。

泉氏は、この答弁に「極めて日本的というか、良くない日本的な考え方」と批判。「もう腹を切ったから、それ以上は何も聞かないし、問わないと。それは、しかし、政府として…」と述べ、「なんで(聞き取りが必要)かというと、事業の成否に関わっているから。さまざま、臆測も含めてあるのかもしれないが、だれがこの構想に関わっているのかということで、対外的な評価も受けてきた経緯もある」と主張。「そういうものをお認めにならないということでは、ちょっと話にならないという気もする」と述べた。

その上で「今後、法案も出される。前年も、法案が出されようとしていたが結局、だめだったということの中で言えば、元々構想していた、例えばMITとの連携が思いのほかうまくいかなかったとか、そこにはいろんな理由があるということも出てきている。こういうことも含めて、やはり対外的に、この構想は非常に問題のない構想で前向きで、これから大きく花咲く構想であることは、特に対外的な資金を得なければいけないなら、世の中に対して我々として証明していかなければいけない」と訴えた。

その上で、「その証明ができるかどうかということが問われている中、伊藤氏の関与や、例えばこの立地。予定されているのは国の一等地ですし、果たして本当にこの場所でなければならないのかという適切性、そして、やはり『再スクリーニング』というものがないと、私は正直、この法案は非常にそのまま通すのは難しいものになっていくのではないのかと改めてお伝えしなければならない」と訴えた。

泉氏はその上で、「人権デューデリジェンス」という言葉も紹介しながら「何をしてはいけないのか、そして、何かに関わっていた人やその周辺人物が、さまざまに影響を受ける時代になっていることを、政府が十分踏まえないといけない。いつまでたっても、内向きな考え方で対処していると、えらいことになりますよということをお伝えしたい」と、クギを刺した。